アクチュアリー試験は自分にとってハンター試験だった。

アクチュアリー

またこの暑い季節がやってきました。この季節になると思い出すのが、アクチュアリー試験の申込み。昨年度のCBT(コンピュータ形式)になったことから、今では9月からの申込になったようです。あと受験料も個人・会員(会員法人所属含む)関係なく8,500円になっていました。

加えてCBT形式ならではと思ったのが「※席に限りがありますので、ご希望の会場がある方は早めの申込をお願いいたします。」という文言。CFA(米国証券アナリスト)も会場形式(ビックサイト)からCBTになった間を経験している身としては要注意です。試験日程や会場は申込した後に早い者勝ちで選ぶので

土日しか受験できない!

という人は注意が必要です。自分も「土日受けられるだろ。」と思っていたら、比較的早く申し込んだのにも関わらず、土日の選択肢はあっという間に埋まっていました。結局、有休を取りましたが。

中には後から会場を選ぶのを知らなくて、CFA(米国証券アナリスト)の受験費用1000ドル(参考書も含めると2000ドル)を無駄にした人も知っているので。

申込の日程も変化し、どんどん自分の受験経験が過去のものになろうとしているのを感じますが、申し込みをしてから、つまり12月までの4か月間が自分にとっての勝負の期間でした。このブログでも何度か書いていますが、そんな1年間集中力が続く神童ではないことは分かりきっていたので、人並みに、凡人らしくメリハリを付けないと「この勝負に勝てないな」と考えていました。

ほとんどのアクチュアリー試験受験者は、小学生の卒業文集に「アクチュアリーになる!」と書いて受けている人はいないのではないでしょうか。ちなみに自分は「ケーキ屋さん」でした。小学生のころから料理が好きだった(理系の片鱗かも知れません。)のと、毎日甘いものが食べられるというのが理由です。笑

加えて振り返ってみれば、自分がアクチュアリーの存在を知ったのは、もう就職活動も本番寸前だった大学3年生の冬でしたし、まぁそんなもんです。

前職では何度か学生面談をしたことがありますが、「高校生からアクチュアリーに興味があって、大学もそれ目線で選びました。」という類稀な学生もおり

どんな人生送ってんの?絶対嘘だろ。

と逆に疑うこともしばしば。(ちゃんと人事部のほうには動機を信じてポジティブな理由としてに書類は出しておきましたが。)ただし、一般的なアクチュアリーを志望する動機としては

・理系の割に給与が高い
・ノルマもなく数式と戯れていられる
・地方転勤(大阪除く)がない

といった理由が正直な理由じゃないでしょうか。採用する側も偉そうにしていますが、少し前は同じ学生で、しょうもない理由でアクチュアリーを目指した(ことにしている)人間でしたので。今更「小学生のときから~」とか「死亡率を正しく見積もって社会貢献を~」とか綺麗ごとを並べてもお互い無駄な時間を過ごすだけかと思っていますが、儀式は儀式ですからしょうがない。

一方で一時期は

アクチュアリーは職業ランキング1位

と持て囃された時代がありましたが、”ブラックな職業”と忌避されてきたデータサイエンティストやITエンジニアが給与面も改善されてきて、昔はアクチュアリーに流れてきていた人材(そのさらに昔は投資銀行のクオンツ分野ですが)がそちらに流れて行っているように感じます。

自分の場合は、人と比較して物欲もなく(今も暇があればカフェ行って勉強しているので満足していられる)、もともと地方の人間なので東京・大阪に固執つもりもなく、基本的には「マイペースに生きていられる」というのが一番の動機でした。本当は大学院行って、博士号取って・・・というのが大学生時代の人生の方向性だったので、その延長でした。

金ですよ。金。

それまで「資格」というものにも全く興味がなかったのですが、いざ普通の人と違うルートを辿ると考えたときにメリットを見出したのもアクチュアリーが資格試験であることでした。アカデミックな世界もサラリーマン以上に混沌としているので、もしものときを考えたときに人並みに生きていく保険として資格試験で担保しておきたかったのも理由です。

それであれば弁護士・公認会計士という道が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、弁護士・会計士になるにも法科大学院や予備校に通うお金が必要ですし、加えて大学で4年間勉強してた知識と全く違う土俵で戦わなくちゃいけない(=お金と時間が無駄)という制約もあり、なんだかんだ当時の自分として最適解だったのがアクチュアリーという道でした。

実際、アクチュアリー試験で自ら負担したコストと言えば弁護士や会計士と比較すればわずかな参考書代(10万円いかない)と受験費用(これも10万円は行ってないと思う)でした。会計士だと予備校代含めて100~200万円、弁護士だと法科大学院受験・法科大学院費用・予備校費用+生活費で500万円以上かかるようなので、だいぶ安く上がりました。(独立の有無を考えると比較するような話ではないのですが。)

18歳時点(意外と小学生の夢を追い求めケーキ屋さん。笑)、21歳時点(アカデミックな世界)、そして今と毎度毎度人生を160度くらい変えていますが、人生振り返ってみるとまぁ好きなことやって生きていられるので「あのときこうしておけば」という考えはあまりないです。もしもう一回人生繰り返せるならば、という話であればもちろんアクチュアリーは目指さず

2011年にビットコイン買い漁ります

以上の答えはありません。笑

当時(1BTC=1000円くらい)100万円分買っていれば、現在(1BTC=400万円)の価値で40億円くらいになっているわけですからね。それぐらい愚門ということで。

コインチェックホームページより

ハンター×ハンター世代でもあるので「資格」というのに憧れもあったわけですが、振り返ってみても「努力が形に残る」というのは若い時代にはとても有効だったと思います。もちろん起業もできない、インフルエンサーにもなれない凡人としてですが。

もちろん学歴と一緒で「コミュニケーションが取れる」「仕事がこなせる」ことも一定程度できていないと「アクチュアリーだけだな」と皮肉られてしまうので、資格を取った後も、取る前以上に気を使う必要はあります。

その前提さえクリアしていれば、多少のミスは許して貰えるという心理的安全性が確保できますし、「嫌なことも頑張れることができる」なのか「資格を取った=能力がある」と見てもらえるのか分かりませんが、同世代と比較して重要な仕事を任せて貰えることが多かったように思えます。

中身はなんにも変わっていないのに。

もう資格取得でどうにかできる世代になってしまった立場として(それなりにマネジメントもする側になりましたし)、もし仮に「アクチュアリーを持っている人間」と「アクチュアリーを持っていない人間」を比較するならばどれくらい加点をするかというと100点中10点くらいですかね。

もちろん「アクチュアリーを取ったから優秀」ということは否定しませんが、学歴と一緒で「すべてそれに力を入れた」場合であったり、「無駄に資格を取ったばかりに自己肯定が高い(言うことを聞かない)」という場合も半分近くはいると想定されるので、あまり通常の仕事のうえではフラットに見ますかね。(実際、アクチュアリーの部下を持つことはこれからもないと思いますが。)

甲乙つけ難いけどどちらか選べというのならばという段階で少し味付けするくらいです。ぜひ、アクチュアリーの部下を持つマネジメントの方はもちろん、資格取って調子に乗っている”受験生だった人”の参考になれば幸いです。所詮、アクチュアリーにしがみ付くアクチュアリーはサラリーマンから脱出することはできないので。(自戒)

ちなみに”米国の人気の職業”を久しぶりに見たら、アクチュアリーが9位に返り咲いていました。

https://www.careercast.com/jobs-rated/best-jobs-2021?page=8

タイトルとURLをコピーしました