米連邦公開市場委員会(FOMC)は15、16両日に開催した定例会合で
政策金利を0.25ポイント引き上げる
ことを決定しました。15年12月~18年12月以来の利上げ局面に突入です。
賛成8、反対1で決定。反対したのはセントルイス連銀のブラード総裁で、0.5ポイントの利上げを主張。FOMC会合の決定に反対票が投じられたのは2020年9月以来だそうです。
四半期のタイミングで公表されるのが今後の見通しです。公表された見通しでは、年内残り6回の会合全てで利上げを実施することを示唆しました。
2022年は今回と合わせて7回
の見通しです。
その他の見通しでは、2022年の経済成長見込みを4.0%から2.8%に大きく下方修正しました。インフレ率も2%台を想定していたものを4%台に修正しました。政策金利の見込みも1%引き上げ、2022年中には2%手前まで引き上げる見通しです。
タカ派で有名な米セントルイス連銀のブラード総裁は、「年内に政策金利が3%超にすべき」と提言しているそうです。
今回(3月)の0.25%の利上げの経緯を振り返って見ると、年末までは「利上げするかな?」というトーンでした。その後、12月、1月とインフレ率が上昇したことにより、一時は「0.5%もあり得るというか。0.5%じゃないか?」という時期もありました。
しかし、その後、ロシアのウクライナ侵攻が始まってしまったため、経済への影響を勘案し、0.25%に着地したように感じられます。個人的には、ウクライナ侵攻は原油や天然ガス等、インフレへの影響が大きいため「インフレファイター」としてのFEDとしては0.5%に踏み切るのかな、と考えていたのですが、見事に外れましたね。
現時点(3月19日)の5月の利上げ予想は1段階(下限0.5%)か2段階(下限0.75%)が50:50のようです。
パウエル議長の記者会見では、「ロシアのウクライナ侵攻による原油や他の商品の価格高騰は短期的にさらなる上昇圧力となる」としつつも
景気後退が来年までに起こる可能性は特に高まっていない。全ての兆候は米経済が強いことを示している
The probability of a recession within the next year is not particularly elevated.Aggregate demand is currently strong, and most forecasters expect it to remain so.
All signs are that this is a strong economy.
と保証してくれています。実は今回0.25%利上げ自体は市場予想どおりだったのですが、年内7回の利上げというのは市場よりもタカ派の予想だったことから、米国株価は下落しました。しかし、パウエル議長記者会見でのこの「経済が強い」との発言を受け、株価が持ち直しました。
また、バランスシートの縮小(量的金融引き締め)についても、次回(5月)には議論することを示唆しました。
We expect to announce the beginning of balance sheet reduction at an upcoming meeting.In making decisions about interest rates and the balance sheet, we will be mindful of the broader contexts in markets and in the economy, and we will use our tools to support financial and macroeconomic stability.
一方で、今後のFOMCについては「live meeting」と例え、(今までもそうだったと思うのですが)臨機応変に対応していくことを強調しました。
The way we’re thinking about this is that every meeting is a live meeting.
しかし、今後の焦点となるのは、何と言ってもインフレ率。FOMCの見通しも、この3か月でジャンプアップしました。
パウエル議長は、「ウクライナ侵攻が起こる前は、インフレは1~3月にはピークを迎え、今年後半には下がり始めるとみていた。今年の半ばまでは物価上昇率は高止まりし、23年には急激に下がるだろう。」とインフレの今後について触れました。もともと1年間の段階では「インフレは一時的(コロナショックからの立ち上がり)」と言っていたのに。
結局は「live meeting」ということで、5月もどうなっていくのでしょうか。