今更ながら債券の利回りに思うこと。利率と利回りの違い。

金融知識

さて、今日は“債券利回り“について思うことを、自分の整理のためにも書こうかと思います。パフォーマンス(どの債券がいい)の話ではありませんので注意。

債券の利回りとは

何に対して思っているかというと、まず次の文章をご覧ください・・・

3日のニューヨーク債券相場は3日続落した。
長期金利の指標となる表面利率2.625%の10年物国債利回りは前日比0.01%高い(価格は安い)2.70%で取引を終えた。米中の貿易協議の進展期待や米政府機関の
再閉鎖回避の観測などを背景に、投資家が運用リスクを取って安全資産
とされる米国債を売る動きがやや優勢となった。

日本経済新聞(2019/2/14)

「債券相場は下落」
・・・ふむふむ下落したんだな

「長期金利の指標となる10年国際利回りは」
・・・ん?

「前日比0.01%高い2.70%で取引を終えた」
・・・債券価格は?なぜ利回りの話?

と思うわけです。何が言いたいかというと、株式もREITも現物も金も、”額”で上がった/下がった(上昇/下落)で説明するのですが、債券だけ”利回り”で説明になることに疑問を持ちませんか。

正直、証券アナリストの勉強で「債券価格=キャッシュフローの割引」と覚えてしまったので、価格と利回りが反比例の関係であることは数式から理解しました。

なぜ利回りが上がると債券価格が下がるのか?これを計算式抜きで、例えば”中学生に説明しろ”と言われると躊躇してしいます。

利回りと利率

これを理解していくうえで、まず必要なのは 「利回り」と「利率」と違い です。

国債で考えると、「利率」=「クーポン」であり、定期的(正確には半年ですが)に元本に対して支払われる利息のことを指します。また、基本的にこの利率(クーポン)は最初から約束されており、期中で変わることはありません。

国債が額面(満期日に戻ってくる額)100円ならば、毎年2円もらえるならば利率=クーポン=2%になります。株式でいうと、「配当」みたいなものでしょうか。

一方で「利回り」(「金利」とも言っているところはありますが)は

1年あたりの運用益をパーセント表示で示したものです。
この運用益の中には、(1)1年分の利子収入(「表面利率」で表されるもの)と、(2)償還額面(又は売却価格)と購入価格の差額(1年あたりに換算したもの)が含まれています。
(1)の利子収入(表面利率)は発行時から償還時まで変わることはありませんが、(2)の購入価格は時価ですから、国債相場の状況や購入される金融機関によって変わってきます。したがって、購入価格次第で、国債の「利回り」は変わってくることになります。

財務省(国債の「表面利率」「利率」「クーポンレート」「利回り」はどう違うのですか」)

とのこと。

一方で、債券の利回りとは、クーポン(株式でいうと配当)のインカムと、時価(需要)変動のキャピタルを合わせた、総合的な収益率です。

なぜ債券の場合利回りを使うかというと、株式と違って、債券の場合は”満期時の価格(=償還額:100円とか)が決まっている”ため、満期に近づくほど償還額(100円)に近づき、額ベースだと分かりづらいからだと思います。

そのため、今(募集時や購入時)から満期時まで稼げる利回りがいくらか、ということが債券のリターンを考えるうえで一番分かり易いのかと思います。

利回りの変動

また、「利回り」=「金利」水準が上がっていくと、新発の債券において「利率」=「クーポン」の水準が高くないと誰も買ってくれないので、既発の債券需要が減る=既発の債券価格の低下、という考え方になります。

また、 政策金利が上昇すると、想定的に既発の債券の魅力度が低下(預金していたほうが債券より収益率が良いと考えるようになる)するので、これも「債券価格の下落要因=利回りの上昇要因」になるのかと思います。

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