12月5日のCFA(米国証券アナリスト試験)のLevel1に向けて勉強しています。CFA協会から公式で出ている参考書(CFA® Program Curriculum)のみで勉強を進めており、Volume6まであるところをやっとVolume2まで終わりました。
Volume2(Economics=経済)に手を付け始めたのが8月末から。その後、遅めのお盆休みが取ったことから9月の1週目には終わりました。勉強時間に換算すると15時間ほどです。Economics(=経済)は証券アナリストでもCIIAでも勉強し、またコロナショックによる金融・財政政策をブログでまとめていたこともあって、”英語の単語わからない”ことを除いてはスムーズに進んだ印象です。
Volume2の内容
Volume2の内容は「経済(Economics)」です。証券アナリストと同様、①ミクロ経済(需要と供給等)と②マクロ経済(金融・財政政策等)に区別されています。
Economics (1):ミクロ経済
ミクロ経済は、需要曲線と供給曲線から始まります。この辺りはなんなく終わったのですが、個人的にはまったのは、費用曲線。平均費用や限界費用というやつです。ATC、AVC、AFC、MCが出て来て頭が混乱します。
Average Total Cost:平均費用
Average Variable Cost:平均変動費用
Average Fixed Cost:平均固定費用
Marginal Cost:限界費用
Short-run Marginal Cost:短期限界費用
CFAの勉強で初耳だったのが、「break even point」と「shutdown point」です。
break even pointは”損益分岐点“のことで、上図でのP1(ATVとMC/SMCの交点)です。そもそも限界費用(MC/SMV)は1単位あたり生産量を増やしたときの費用のことです。理論的にには価格=限界費用(MC)となるときに利潤が最大(証明は下図参照)となるため、限界費用曲線=供給曲線となります。
つまりP1は利益も損失も出ない状態であり、逆にいうとこれ以上商売を続けていたら損失ばかり出ていくことになります。”損益分岐点を上回らなければ商売は続かない”というのは分かり易いかと思います。
もう一つ、似たような分岐点はshutdown pointで、”操業停止点”と訳されるようです。shutdown pointはAVC(変動費用)=MC/SMC(限界費用=供給)となる点で、利益が変動費用を上回っている状態を言います。もちろん変動費用としかバランスしていないので、固定費用分赤字になっています。ただ、自転車操業的に人件費や材料費は賄えているので、短期的には続けられると判断するための均衡点です。これ以上利益が下がってしまう場合は、すぐさま商売を辞めた方が良い・新規参入は止めた方が良いと判断する条件となるそうです。
個人的に勉強になったのは経済サイクル(Understanding Business Cycles)のところ。証券アナリストでも勉強したのかもしれませんが、就業意欲喪失者(Discouraged worker)や自発的失業(Voluntarily unemployed)、摩擦的失業(Frictionally unemployed)の考え方です。経済サイクルにおける失業率の見方も変わってきます。
・就業意欲喪失者
就業希望を持ちながら失業状態の長期化により求職活動する意欲を失った者。統計上は非労働力人口に含まれる。・自発的失業
経済内に労働に対する需要が十分存在するにもかかわらず発生しうる失業。そもそも働きたくない人。・摩擦的失業
現在職探しや採用面接中の状況で、マクロでみれば必ず一定人数発生しうる失業の状態。
例えば経済回復期の失業率を考えると、単純に改善(失業率が減少)と思いきや、就業意欲喪失者が就職活動を開始する(=失業者としてカウントされる)ため、一時的に失業率が悪化するそうです。ここ最近はコロナショックで失業率が注目されるので、勉強になりました。また、いくら経済が良くなって雇用環境が改善しようとも摩擦的失業者等の影響で0%になることはなく、また裏では自発的失業者や就業意欲喪失者という隠れた失業者がいるということを改めて認識しました。
Economic(2):マクロ経済
マクロ経済はGDPの考え方から始まり、金融政策(Monetary Policy)、財政政策(Fiscal Policy)、国際収支(貿易・関税・補助金)(International Trade and Capital Flows)、為替取引(Currency Exchange Rates)が範囲です。もちろんIS-LM曲線とAD-AS曲線(Aggregate Demand/Supply)も出てきます。
金融政策や財政政策は、証券アナリストでもおなじみの流動性のわな(liquidity trap)やクラウディングアウト(crowding out)が出てきましたが、内容は日本のものと同じなので、特に問題なく進みました。日本銀行だろうとFRBだろうと、日本政府だろうと米国政府だろうとほぼ内容は変わりませんでいした。
今回勉強していて証券アナリスト(CIIAも含む)ではなかったぁなと思ったことが2つありました。一つは貿易収支のところで、関税(tariff)は良く出てくるのですが、輸入制限(quota)や補助金(subsidy)が出てきたことですね。パッと見はどっちが何をしているか分かりませんでした。いずれも価格が上昇して流通量が減少する効果は同じですが、それぞれの国の利益が異なってきます。
もう一つは為替の「Jカーブ効果」というもの。
外国為替市場で自国通貨の価値が下落したとき、短期的には輸入コストが上昇するなど貿易収支が悪化しますが、徐々に改善が進むことを表します。例えば円安の進展は、当初は貿易収支が悪化するものの、それが一定期間を経過すると黒字に向かって上昇します。外国為替相場の変動に対し、その効果が現れるまでタイムラグがあるということです。
なお、為替の下落・上昇がその国の貿易収支にどのような影響(改善or悪化)を与えるかは、マーシャル=ラーナー条件で判断します。
さて、Volume3は「財務諸表分析(Financial Reporting and Analysis)」です。試験当日(12/5)に向けて、残りのカリキュラム(Volume6まで)と模擬試験(MOX)で締めたいと思います。