円債を考えるとき。

インフレショック

今年もあと1か月を切りました。「暦年」で運用成績を取りまとめている自分としては、”最後の1マイル”という気持ちです。(もうすぐ終わりという安堵感とともに、気を引き締めなければいけないという意味。)

だからと言って、勝った・負けたで何かあることもなく、単なる気持ちです。笑

おかげさまで主力としているS&P500は年初来20%を記録しました。円換算ですと、年初に130円だったドル円が150円近く来ましたので、35%近い上昇となりました。

2022年はざっくりマイナス8%(円換算)でしたから、それのより戻しもあります。そもそもS&P500が2021年12月末に記録した最高値の4800を、もう2年近く下回っているため、指数としては高すぎるということもないと思います。

そんな中で、金利が上昇し、10年利回りが一時5%に達しました。このブログでも「債券はデフォルトしなければ利回りゲット」と声高々に言っていますが、金利が上昇するということは、その時に債券を買えれば利回りそのものを享受できる、ということです。つまり米国債を買えば5%の利回りをゲットできるということにほかなりません。

そんな思いから、この1年間ほど株は一旦お休みして米国債券を買い進めてきました。

結果的には

うまくいかないまでも失敗でもない

という状況です。

結論は「黙って米国株を買っておけばよかった」ではありますが、概ね4%の利息を享受できていますし、比較的デュレーションの短い債券(2年~5年)を買い進めていたので、金利上昇によるキャピタルロスの影響は大きくなく、加えて円安でキャピタルロスを相殺した、という状況です。

そんなわけで「債券の傷」は円安で隠してきたのですが、米国の金利低下を受け、円高になってきました。もともとは外国債券(米国債券)に対しては、純粋な金利収入を期待していたのですが、いざ儲けてしまった後に利益が剥落すると、それはそれで悲しい気持ちになってしまうのは人間の性です。

そうすると今まで(円安局面では感じていなかった)以上に

為替リスク

に敏感になってきました。

そんな中で日本の金利が上昇してきました。1年前は0.2%~0.3%だった金利が今では0.7%~0.9%程度まで上昇しました。もし今、残存期間10年程度の債券を持っていれば、この1年で△5%程度のキャピタルロスが発生していましたが、冒頭の理屈と同じで、今買えば0.7%~0.9%の利息が付いてくるわけです。

メディアでも「金利のある世界」と、10数年ぶりのこの情勢を歓迎しています。

「金利ある世界」で考える投資への一歩 知っ得・お金のトリセツ(131) - 日本経済新聞
資産形成の心強い味方が久しぶりに家計に戻ってきた。そう、金利。元本が利息を生み元手に加わることで、雪だるまのようにお金が増える利殖のエンジンだ。これまでのように「どうせゼロ」と無視せず、比較検討する「金利コンシャス」が差を生む時代の到来だ。...

まず動いたのが三菱UFJ銀行だ。6日以降、それまで一律0.002%だった期間5〜10年の定期預金金利を引き上げ、期間10年では100倍の0.2%とした。100万円を1年間預けた時の利息が税引き前で20円か、2000円か。その差は小さくない。

日本経済新聞

さて、実際の債券市場はどのようになっているのでしょうか。約1年前から、米国債を見るついでに国内債券もウォッチしていましたが、やはりラインナップが増えているように思えます。

ここ半年はあってもソフトバンクの債券や、利回りがほとんど付かない国債ばかりですしたが、ここ最近は社債の数も増えてきました。

電力債が並んでいるのも初めて見ました。利率(クーポン)は0.7~0.9%ですが、最終利回りは1%を超えています。電力料金の引き上げが功を奏して、決算結果が良かったのが記憶に新しいところです。

電力、値上げで業績復調 効果3300億円、「値下げ」焦点 - 日本経済新聞
大手電力の業績が復調している。10社の2023年4~9月期決算が31日出そろい、連結最終損益は計1兆6159億円の黒字(前年同期は5928億円の赤字)となった。値上げだけで3300億円収益が改善し、沖縄電力を除く9社が4~9月期で経常最高益...

大手電力の業績が復調している。10社の2023年4~9月期決算が31日出そろい、連結最終損益は計1兆6159億円の黒字(前年同期は5928億円の赤字)となった。値上げだけで3300億円収益が改善し、沖縄電力を除く9社が4~9月期で経常最高益となった。

(略)物価高で消費者から値下げの要求が強まる可能性がある。政府は電気代の補助を続けており、税金による負担軽減策の費用も膨らんでいる。消費者の理解を得るためには、説明責任が問われてくる。

日本経済新聞より

為替リスク(特に円高圧力)のある外国債券、ヘッジコストが嵩むヘッジ付きの外国債券、そして台頭してきた国内債券と、何に投資していくか悩みますね。円債もできれば3%ほど利回りが欲しいところですが。

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