「投資」と「投機」の言葉の違いをご存じでしょうか。
<投資>
利益を得る目的で、資金を証券・事業に投下すること。
<投機>
偶然の利益を狙って行う行為。
将来の価格変動を予想して、価格差から生じる利益を目的に行う売買取引。
投資は「利益を得る目的」で、投機は「偶然の利益を狙って」お金を出すことの違いがあるようです。
具体的な投資手法で説明すると、投資は株式や債券など“元本から利益を生むもの” 、投機は為替や金(GOLD)など“持っていても利益を生まないもの” 、と区別できます。
“投資“は誰もが儲かる可能性を含んでいますが、 “投機“はゼロサムゲームで誰かが得すれば誰かが損します。
債券はクーポン収入が決まっており、金利が動かず会社も潰れないという前提ならば収入が見込めます。
株式も出資した会社がきちんと経営され、付加価値を生み出すならば配当収入が見込めます。
一方で、為替や金(GOLD)は持っているだけで何か生み出してくれるのでしょうか?
為替はただの通貨の交換ですし、金もただの物質です。細胞分裂や錬金術で増えるわけでもなく、人間の需要で価格が変動するだけです。よく運用の世界では
ノーフリーランチ(無料の昼食)はない
と言われます。リターンを得るためには何かしらリスクを取らなくてはいけないという意味です。
これに付随して“リターンを生まないリスクは取るな“と言われます。
為替も金もリターンを生まず、短期で変動はあっても超長期では価格は変わらないと考えられるので、リターンを生まないリスクですから、基本は取るべきリスクではないと言われます。
一方で、市場環境や社会情勢により短期的には変動するので、FXや裁定取引(アービトラージ)などで利益を出すことができます。
たまにFXの”スワップポイント”はどうなんですか?と聞かれますが、あくまで二国間の金利差(本来その国で預金してたら貰えた利息の差額)ですから、何かリターンを生み出しているわけではないので、私は投機だと考えます。
(投機というかリスクフリーレートの類)
結局何が言いたいのかというと、裁定取引できる知識・技術やインサイダー情報、市場トレンドを高確率で読める神憑った技術がない限り、リスクがリターンの源泉になるので自分のリスクはちゃんと把握しましょうということです。
不要なリスクを取っていると、ただただ機会損失してしまいます。
例えば外国債券にしても、中には金利リスク・為替リスク・クレジットリスクが含まれています。じゃあ、投機は悪いことなのでしょうか。
為替が輸出入という実需だけで利用されているならば、季節や貿易の変動だけで動いてしまうので、需要と供給のバランスが崩れやすく、為替レートが大きく変動してしまいます。
しかし投機資金が存在すれば、季節変動等の要因で円安になっている場合、「いずれ円高になるだろう」との考えのもと円を購入する人が出てくるため、為替レートの変動を緩和してくれます。
話を戻しますが、運用は成功することよりも「失敗しないことが重要」と言います。
どんなリスクを取っているかを認識し、短期・中期・長期で市場環境を考え、不要なリスクをとっていないかを振り返ることが大切だと思います。