株価の求め方(1/2)-配当金と企業価値-

CIIA・証券アナリスト

株式投資していると誰もが思う疑問

この株式の価値(価格)はいくらなのだろう?

株式の価値が分かれば、今市場で安くなっている株を買って高くなるまで待つこともできますし、今後株価が下落するかどうかびくびくすることもありません。

特に日本だけでなく、世界の株価は昨年から大きく下落する局面がありました。米国株式は一度落ちても不安材料が払しょくされれば、株価は戻ったのですが、日本株式の戻りは芳しくない状況です。

日本株は2018年の10月頭に最高値の24000円を記録してから、足元21000円で推移しています。米国株は2018年10月以降も2回最高値を更新し、足元も27000ドル付近で推移しています。

確かに日本は10月に消費税の増税が控えていて、なんとなく手が出しづらい環境ではありますが、過去のデータを見ると、消費税の増税はそこまで影響がないように考えられます。

(出所)時事ドットコム

一般的に3か月前から株価は落ち込み、1年くらいで元に戻っているように思えます。

私も自分のポートフォリオでは、日本株を2割ほど保有していますので、今後の動向が気になります。はたして日本株は現在、本来の価値以上に安いのでしょうか・高いのでしょうか。

学問としての株式評価

投資理論の世界では、このような「株式評価」という分野が存在しています。

証券アナリスト(CMA)や国際認定投資アナリスト(CIIA)の試験問題では、「理論株価を求めよ」という問題が必ず出題されます。

当たるか当たらないかは知りませんが。笑

教科書や問題では数学を使って算出することが一般的ですが、今回はなるべく数式を使わないように説明したいと思います。そのため記事が長くなってしまったので、2回に分けて説明していきたいと思います。

なお、株式評価は以下の2つの情報(パラメータ)で決定され、今回は1つ目の「株式から生み出される利益の額」について説明します。

株式から生み出される利益の額
割引率(資本コスト)

株式から生み出される利益の額

株式から生み出される利益は主に2つあります。

  • 配当金
  • 企業価値(自己資本)

そもそもなぜ投資家は株式を購入するのでしょうか。

配当金

例えば10年目前にappleの株を100万円買っていたら、現在は1000万円になっています。このように評価額が上昇するのを期待しますよね。このように評価額上がって得られる利益のことをキャピタルゲインといいます。

また、株式会社は利益が出ると配当金を出して、株主(株式の持ち主)に利益を還元します。配当金のように定期的に得られる利益をインカムゲインといいます。1株当たりの配当金額の割合を「配当利回り」といいます。

例えば1株100円の株式が1年間で10円の配当を出すと、配当利回りは10%になります。

(出所)SBI証券ホームページ 過去12か月のデータから算出

株価が上がらなくても、配当がきちんと出ればもちろん利益になります。キャピタルゲインも、もとを辿れば

将来配当金がたくさんもらえるかもしれない!

という期待の表れで、需要と供給の関係から、株価が上がると言えます。そのためこの企業から配当金がどれくらい貰えるか?が株式評価の重要な要因(パラメータ)になります。

企業価値

続いての株式から生み出される利益の測定方法は「企業価値」です。

例えばアマゾンなんかは設立して25年経ち、世界一企業価値の高い企業となりました。しかし、創設時から配当金を一度も出したことはありません。そしたら

株式から生み出される利益は0円なのか?

と思うかもしれませんが、そうではありません。

アマゾンは、生み出した利益を配当金で分配するのではなく、そのお金を設備投資に回し、さらに企業価値を高めているのです。

投資家も将来凄い企業になって配当金等で還元してくれるんだ!という期待があるため、みんなが欲しがって株価が吊り上っていくという循環になっています。

そのため配当金ではなく、会社が自由に使えるお金である自己資本=株主資本(企業の資産のうち株主の持ち分)を企業価値とみなして評価します。

次回は、この配当金や企業価値(株主資本)を使って、どのように株式を評価するか、説明したいと思います。

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