これでリセッション来なかったら怒るよ。

インフレショック

6月入ってからも株価は一進一退です。6月3日に注目された米国の雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は5月に前月比39万人増加(市場予想31.8万人増)、失業率3.6%(市場予想3.5%)となりました。

米雇用者数が堅調なペースで伸びたことを受けて、米金融当局がインフレ対応で積極的な引き締め姿勢を維持するとの見方が強まり、米国長期金利が上昇し、結果として株価はハイテク株を中心に下落しました。

6月10日に、今最も注目されている経済指標である消費者物価指数(CPI)が発表されますが、それを前に、多くの市場関係者から悲観的な発言が出されています。

まずは、「ハリケーンに備えよ」と印象に残った発言をしたJPモルガンCEOのダイモン氏。

経済の「ハリケーン」に備えよ、JPモルガンのダイモン氏が警告
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、金融政策引き締めやロシアのウクライナ侵攻といった前例のない課題の組み合わせに経済が直面する中、投資家は経済の「ハリケーン」に身構えるべきだと警告した。

ダイモン氏はFRBの”ソフトランディング”には楽観的なようで、メインシナリオ(期待)は景気後退を回避できると期待している一方で、”もしものとき”に身構えるべきと言っています。

「今はそこそこ日当たりが良く、順調で、米金融当局はうまく対処できると誰もが考えている」とした上で、「ハリケーンはすぐそこまで来ている」と発言。「それが小型なものか、『サンディ』のように超大型なのかは分からない。身構えた方がいい」と述べた。

bloombergより

ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は、世界経済を揺るがすショックが相次ぐ中、この先はさらに厳しい経済状況が続くとコメントしました。

ゴールドマン社長も警告、経済に「前代未聞」の衝撃-ダイモン氏に同調
ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は、世界経済を揺るがすショックが相次ぐ中、この先はさらに厳しい経済状況が続くと警鐘を鳴らした。前日にはJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が同様の警告...

「経済システムにこれほどの数の衝撃が同時発生するのは前代未聞だ」と述べた。その上で「この先は一段と厳しい経済状況になることが見込まれる」とし、「資本市場の環境が厳しくなることは間違いない」と続けた。

bloombergより

シティのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は、景気後退がメインシナリオでないものの、リセッションを回避するのは困難になるとの見方を示しました。

米国、リセッション回避は「容易でない」-シティのフレーザーCEO
米銀シティグループのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は、米国がリセッション(景気後退)に陥ることは同行の「基本」シナリオではないが、リセッションを回避するのは困難になるとの見方を示した。

米銀シティグループのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は、米国がリセッション(景気後退)に陥ることは同行の「基本」シナリオではないが、リセッションを回避するのは困難になるとの見方を示した。欧州とアジアへの訪問を終えたばかりのフレーザー氏は3日の投資家会合で、「欧州がリセッションに陥る可能性は米国よりも高いとの確かな印象を受けた」とコメント。だが米国でもリセッションを「回避するのは容易ではない」と語った。

bloombergより

一方で、楽観的なコメントを出しているのがジム・クレイマー(CNBCの投資番組の司会者)です。パウエル長官の”ソフトランディング”を支持しているようです。(皮肉でなければ、たぶん)

I may be the only person besides Jay Powell who believes we are not going to have a recession. At least i hope Jay thinks that way!

パウエル以外で、不況は起こらないと信じているのは私だけかもしれません。少なくとも、パウエル(Jay)がそのように考えていることを願っています!

一方で、さすがアメリカなのか、集まっているコメントはネガティブなものばかりで、「もう不況だろ!経済は終わりだ!」というtweetで溢れかえっています。日本は円安の影響があるせいなのか、そこまで悲観的な見方はしていないというか、冷静にこれからを見極めようという雰囲気ですが。

このように(ジム・クレイマーは除いて)、経済界の重鎮たちが「もう終わりだ」発言をしてしまっては、民衆はそう思うしかありません。いくらファンダメンタルだ!マクロだ!と言っても、感情に流されるのが人間。本来はここで調整が留まるものも、底ぬけてしまい、噂が本当(=景気後退)になってしまいます。

こういった環境下で、悲観的な意見で市場を煽っていることに警鐘を鳴らしているのが、ゴールドマンのロイド・ブランクファイン上級会長です。

Dial back a bit the negativity on the economic outlook. If I’m managing a big company of course I’m prepping for the worst. But the economy is starting from a strong place, with more jobs than takers, and is adjusting to higher rates. Riskier times, but may yet land softly.

否定的な経済見通しを少しダイヤルバックする。もちろん、私が大企業の経営者ならば、もちろん最悪の事態に備える。しかし、経済は好調な場所から始まり、求人数より雇用数が超過する状態が続き、より高いレートに調整していく。より危険な時代だが、それでも穏やかに着陸するだろう。

米経済への否定的発言自制を-ゴールドマンのブランクファイン氏
米ゴールドマンのロイド・ブランクファイン上級会長は3日、米企業の幹部が相次いで米経済見通しに警鐘を鳴らしたことを受け、否定的な見方を「少し控える」べきだとツイートで呼び掛けた。

まぁこの人も、5月のインタビューで「米経済がリセッション(景気後退)に陥る”リスクは極めて高い”とし、企業と消費者は備えを固めるべき。」と言っていますが。

ゴールドマン会長、米経済がリセッションに陥るリスク「極めて高い」
米ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファイン上級会長は、米経済がリセッション(景気後退)に陥る「リスクは極めて高い」とし、企業と消費者は備えを固めるべきだとの見解を示した。

さて、金融の専門家の予想がどこまで的中するのか。(「ただ警告しただけで、そうなるとは言っていない」と返されそうですが。)今後が楽しみです。

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