2021年の10大リスク。

市場環境

この時期になると発表される米調査会社ユーラシア・グループの世界の「10大リスク」です。1月4日に2021年の10大リスクが発表されました。

ちなみに2020年の予想はこちら。振り返って見ると、米大統領選挙はまさに波乱万丈でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の予想はありませんでした。

さて本題の2021年の予想はこちらです。首位には米国のジョー・バイデン次期大統領を意味する「第46代」を選び、大統領選が極めて接戦を制したことによる社会分断の拡大を警告した。2位には新型コロナウイルスの長引く影響をあげて、世界政治や経済の安定を脅かすと予想しました。

https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/Top%20Risks%202021%20Japanese.pdf

注釈付き第46代アメリカ大統領

トランプ自身も、7,400万票という米国史上2番目に多い一般投票数を獲得しました。また、州知事や上下両院議員を選ぶ「ダウン・バロット」において、共和党は下院の議席数を増やしただけではなく、全米各州の知事選、議会選挙で重要な勢力拡大を実現しました。またトランプは、最高裁を保守派で固めることにも成功しました。

以上を踏まえると、バイデンは、1976年のジミー・カーター以来、最も弱い国民の付託を受けたアメリカ大統領となるだろう、とのことです。彼が2期目に立候補すると考えている人は、政界観測筋の中にはほとんどいません。トランプ・ブランドに忠実な、怨念を抱える反対勢力に直面するバイデンは、「普通の」ねじれ状態にある政府のなかで国を統治するよりも、さらなる困難を伴うことになるだろうとのことです。

コロナ後遺症

たとえ大規模なワクチン接種が開始されても、新型コロナウイルスやその広範囲にわたる影響が消滅することはありません。各国政府は性急すぎるワクチン接種スケジュールに追われ、パンデミックの経済的な爪跡である多額の公的債務、失業者、そして信頼喪失などが残ります。

ウイルスの進化により、集団免疫とワクチンの効果という当初の目的が、時とともに意味のあるものへと変化していきます。経済回復の程度は国によって、また国内でも地域によって異なるため、体制側に対する国民の不安と怒りは増大し、新興市場は債務危機に直面する可能性があります。

気候問題:ネットゼロとGゼロの交差

バイデンは、就任初日にパリ協定に復帰するのみならず、遅くとも2050年までには、世界随一の経済大国である米国が二酸化炭素排出量を実質ゼロにする強い意思を明らかにしました。バイデンのこの公約は、トランプが怠ってきた気候変動対策を覆すだけでなく、世界が一致協力する新たな時代の始まりであり、Gゼロに対するネットゼロ(二酸化炭素の排出量を実質(ネット)ゼロ)の勝利を意味しています。

しかし、それは「すべてがうまくいけば」という場合で、現実には、気候変動に関するより野心的な企てに由来する企業や投資家にかかるコスト、そしてこれらの気候変動関係の諸計画の相互の連携を過大評価することに由来するリスクが伴うものと思われます。

トルコと中南米が抱える問題

ユーラシアによると、トルコは昨年、危機を回避することができたが、21年に入っても脆弱(ぜいじゃく)なままだとのことです。エルドアン大統領は4-6月(第2四半期)に再び圧力に見舞われ、景気拡大を促そうとするかもしれないが、そうすることで社会的緊張をあおるリスクがあります。

中南米諸国では、パンデミック以前に直面していた政治・社会・経済問題が、一段と厳しくなるリスクがあるとのことです。アルゼンチンとメキシコでは議会選挙が行われ、エクアドルとペルー、チリは大統領選挙を控えており。ポピュリズムに訴える候補者が増え、特にエクアドルでは同国の国際通貨基金(IMF)プログラムと経済安定を危うくする可能性があります。

最後に余談ですが、こちらもこの時期に公表されるブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏の「びっくり10大予想」です。

ブラックストーンのプライベートウェルス・ソリューションズ・グループ副会長を務めるウィーン氏は、最高投資ストラテジストのジョー・ザイドル氏と共同執筆した同予想で、S&P500種株価指数が21年前半に20%近く下げ、そこから4500まで上昇すると予測。米成長率は6%を上回り、10年債利回りが2%に上昇するとの見方を示しました。

元モルガン・スタンレーのストラテジストで1986年以来「びっくり予想」リストを公表してきたウィーン氏は、ウォール街で最も広くフォローされている人物の1人です。1年前にはS&P500の年内3500突破を予測する共に、経済成長は鈍化し、米金融当局が政策金利を1%に引き下げるとの見方を示していました。

ウィーン氏の「びっくり予想」は、投資家予測では発生確率が3分の1だが自身は5割以上とみているようです。(そんなにびっくりじゃないですね・・・)

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