idecoの拠出限度額が引き上げられるらしい。

年金・生命保険

タイトル通りなのですが、ideco(個人型確定拠出年金)の拠出限度額が引き上げられるらしいです。正確にはこの12月1日に法律改正となった話と、今後「さらに引き上げられる」という話が出てきたので、整理しておきたいと思います。

そもそもideco(個人型確定拠出年金)は

最強の投資制度

で、60歳まで途中引き出しができない代わりに、「給与天引き」ができるという税制優遇機能を持っています。

例えば、NISAに毎月1万円を投資しようとすると、額面給与から所得税や社会保険料が引かれた「手取り」から1万円を拠出しなければいけません。しかし、idecoの場合、いわゆる経営者や個人事業主の「経費」のように、所得税を控除する前に引き落とされているように計算されます。

サラリーマンの場合、なかなか実感できませんが、一旦手取り給与からideco掛金を支払っていたとしても、会社の年末調整できちんと申告すれば、過剰に取られた税金が手元に戻ってきます。

極論、idecoに拠出限度額が存在しなく、際限なくideco掛金を支払うことができるのならば、給与額面から社会保険料を控除した額をすべてideco掛金に費やすのならば、所得税も住民税(たぶん)も掛かりません。

例えば、年間所得300万円(所得税率10%)の人が支払う所得税は300万円×10% – 9万7,500円=20万2,500円です(復興所得税は考慮しない)。iDeCoに毎月1万円を拠出する場合、年末調整によって12万円×10%=1万2,000円が還付されます。

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さて、そんな神がかった制度がこの12月に改善されました。

idecoは銀行や証券会社にとっても、一般市民からお金を集めるとっても良い制度だったので、過去から拠出限度額を撤廃する等、税制に関する改正要望を所管省庁に提言していました。

https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/opinion/opinion360917.pdf

(1)拠出限度額の撤廃または引上げ
確定給付企業年金(以下「DB」という。)と同様、企業型確定拠出年金(以下「企業型 DC」という。)の事業主掛金は当該企業が、退職給付制度や財務状況、総人件費の考え方等に沿って掛金額を設定するものである。
企業型 DC の制度設計の自由度を高めることは、同制度の普及に資すると考えられることから、企業型 DC に係る拠出限度額の撤廃、または少なくともさらなる引上げを検討いただきたい。
また、個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」という。)についても、さらなる普及・拡充を図ることや、国民が高齢期における所得の確保に係る自主努力を行うに当たっての公平な支援の充実を図る観点から、拠出限度額の撤廃、または少なくともさらなる引上げを検討いただきたい。


2024年9月17日 一般社団法人全国銀行協会確定拠出年金制度に関する改善要望

しかし、「拠出できる人=お金持ちをより税制的に優遇する」という観点から

金持ち優遇

と言われ、長らく実現しませんでした。

しかし、岸田内閣の「貯蓄から投資へ」の号令の元、ここにきて色々な歯車が動き出しました。

まずは、この12月1日から法律改正が行われ、サラリーマン(第2号被保険者)については、idecoの拠出限度額が引き上げられました。具体的には企業年金(確定給付企業年金・企業型確定拠出年金)に加入していない人にとって、idecoの拠出限度額が12,000円から2万円に引き上げられました。

なお、限度額が引きあがっただけですので、「※2」に記載がある通り、属している企業において、企業型確定拠出年金の掛金や、確定給付企業年金の他制度掛金相当額が大きい場合、今まで(12,000円)よりidecoの掛金が小さくなる可能性もあります。(おそらくそうならないように会社側も考えて設定しているとは思うのですが。)

この直近の法律改正に加えて、更なる拠出限度額の拡大が与党内では議論されているようです。

自民党の税制調査会は4日、党本部で「インナー」と呼ばれる幹部の非公式会合を開いた。2025年度税制改正を巡り、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の拡充策を議論した。政府・与党は掛け金の上限額を引き上げる方針で、今後の協議で詳細をつめる。

現在は企業に勤める人がイデコと企業型確定拠出年金(DC)を併用した場合、合計の拠出限度額は月5万5000円となっている。4日の会合では限度額を引き上げるべきだとの声が上がった。日本証券業協会や岸田文雄前首相が立ち上げた議員連盟などは10万円への引き上げを要望している。

日本経済新聞(2024年12月4日)より

この時期は12月下旬の与党税制大綱に向けて、例年税制改正に関する議論が行われます。税制改正大綱とは、翌年度以降の税制改正についての具体的な内容をまとめた文書のことで、年明けの通常国会での審議に向けての法案骨子のようなものです。

この税制大綱で明文化されると、ほぼほぼ翌年の通常国会で審議され、早ければ3月末に法律化、4月以降に施行というスケジュールになります。なお、令和6年度税制改正大綱は、2023年12月14日に案が公表され、22日に閣議決定されました。

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