【終わった人】定年になったときを考える。

年金・生命保険

突然ですが

終わった人

という小説をご存じでしょうか。

ネットで自動的に流れてくるレビューで、気になって購入しました。

”定年というのは生前葬なんだな”

物語でもよく出てくるこの言葉が、この物語のすべてを表現しています。ちなみに、この小説は映画され、さらに海外の映画祭で賞を取っていました。

内容は、よくあるサラリーマンの人生ものです。

私はこういう小説をあまり読まないので、テーマとしてよくあるものなのかわかりませんが、「 定年退職」を題材としたものです。

あらすじ

銀行勤めの主人公が出世競争に負けて(私としては十分な地位だと思いましたが)、子会社の役員に転籍になり、そしてそこで定年を迎えた主人公のその後を書いた小説です。

まだアラサーの私には早い内容かと思いますが、準備することにこしたことがないと思い、手に取りました。

最初は、定年後の手続きとか社会保障関連とか、いわゆるライフハック的ことを織り交ぜながらの話だろ、と思いました。最近は人生100年とが言われて需要があるしと自分の親への実用書として考えていました。

しかしなんというか、定年を迎えた、または迎える人の心理描写が秀逸。

言ってみれば”自分の上司”や、”ひたすら席でネットサーフィンしているおじさん”の気持ちがわかり、一つ大人の階段を登った気持ちになりました。

今の時代は資本強化を目的として銀行(主人公は銀行勤め)をはじめ多くの企業間で統合が繰り返され、ポストも大分減少しました。

また、年功序列もなくなりつつあり、長く勤めていれば何かしらポストが与えられるという時代でもなくなりました。

逆に言えば、年功序列で収入が増えるわけでもないので、老後も年金だけでは生活できず、何かしら次の仕事を探さなくてはいけない雰囲気です。

なにより、定年後に40年近く生きる可能性があり、「定年でおめでとう」とか「今までお疲れ様」言ってもらっている場合ではないということです。このあたりはCIIAの試験勉強をしていると身にしみて感じますね。

第2の人生に移れるのか

主人公は、前の会社にこだわり、悶々として生きていきます。しかし、物語の中にはスムーズに 第2の人生にシフトしていっている人もいます。

結論としては、前の会社にこだわっても戻れるわけでもないので、やはり気持ちの整理をしておくのが重要とのこと。

いきなり定年!となるわけではなく、いつか定年がやってくるかわかるのだから、少しずつ心の準備・生活の準備をしていくことが重要と、物語っていました。

がむしゃらに働いて、ふと気づいたらもう会社に行かなくて良い。平日も、家に寝るためだけに帰って、土日もたまに出勤。思い返せば、1年のうち起きてる時間のほとんどは会社だったのに、いきなり野に放たれるわけです。

人生のほぼ全てを捧げていたコミュニティから、”明日からもうくるなと言われる怖さ。

この小説を読むまでは全く想像もしていませんでした。逆に言えば、この小説の表現力が、こんな若輩者にも理解できるように伝えてくれたということでしょうか。

正直、人生の考え方が少し変わりました。

やはり一つのコミュニティに属するのは、今の時代はリスクです。そういった意味では今のところに自分が所属できるコミュニティを見極めておくことが大切だと感じました。

私の場合は、証券アナリストを通じたコミュニティとか、あとはジムを通じたコミュニティとか。できれば、仕事になるようになったらいいですね。もとは、好きではじめたことですから。

映画版も面白エピソードがたくさん

この小説の映画バージョンの主人公は館ひろしさんです。

小説ではただのサラリーマンだったので、少しイケイケ過ぎですが、さすが役者さん、雰囲気は出してました。

また、エピソードとして面白いのが、この映画はモントリオール映画祭で主演男優賞を取っています。しかし、誰もなにかしら賞を取ると思っていなかったので、監督のみの出席だったとのこと。

主演の舘ひろしさんも「棚ぼた」だったという言い回し。笑

他にも黒木瞳さん、広末涼子さん、臼田あさ美さん、今井翼さんと意外と(失礼ですが)豪華なメンツです。

ただ、映画という限られた時間の表現なので、細かい心理描写等が省かれていました。

そのため、原作を読んだ者としては、あれ?という場面が多かったので、是非とも映画を見た人でも原作は読んでほしいと思います。

是非、ベテランの方だけでなく、新入社員の方も「上司はこういうことを考えているんだ」ということは分かるので、読んでほしいと思います。

ちなみに私は本を読んだ後に映画も見に行ったのですが、ゆっくりみたいなぁと思って朝いち(確か9時上映)に映画館にいったのですが、まさかの満員。

映画のエンドロールが終わって、明かりがついて周りを見てみると

ご年配の方ばかり!

200人くらいいたと思うのですが、一通り見渡しても、30代以下のような方は私だけ。

そりゃ、朝なのに満席になるわけだ。笑

老後は元気なうちにちゃんと考えておきましょう。

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