年金の2000万円問題が相変わらず、話題になっています。
2000万円足りないといっても、実は公的年金部分に限って考えると足りないという話です。しかし、サラリーマンの場合、定年時に退職金が1000万円から2000万円貰えることが一般的なので、不足分は減ります。

皆さんはそもそも自分の会社の退職金制度をご存じでしょうか?
今回は退職金制度と、その内容の一部である企業年金制度について説明したいと思います。
退職金とは
退職金にはいくつかの意味があります。
- 報奨金的な意味
- 老後保障的な意味
- 賃金の後払い的な意味
正解はなく、その会社の退職金制度を作った際の経緯次第ですね・・・。報奨金的な意味だと、会社の経営が傾いたときに払う義務は無さそうですし、賃金の後払い的な意味だとどんなときも払う義務はありそうで、従業員としては気になります。
基本的には会社と従業員(組合)が、ルールを決めて、退職金規程に落とし込んでいるはずなので、自分が退職金をいくら貰えるか気になる人は、社内規程を探してみてください。
また、本当に会社が潰れてしまった場合、退職金はどうなるか。退職金の原資は会社の内部留保として蓄えられているので、債権者の債権となり、全く貰えない場合が多いです。

退職金は人件費の一部に該当し、会社の中のお金で支払われます。そのため、会社が潰れてしまった場合、会社の中のお金は債権者の持ち分となり、そちらへの分配が優先されるので
退職金がないと生活できないじゃないか!
と言っても貰えません。
そこで、特に大企業の場合に多いのですが、退職金の一部を”確定給付企業年金”として運営している場合が多いです。
企業年金(確定給付型)とは
一部というのはどういうことかというと、1000万円の退職金があったら、300万円は会社内部(退職一時金と言われます)から、700万円を企業年金から支払うというようにしています。なぜ、わざわざ企業年金の制度にするかというと、企業・従業員に以下のメリットがあるからです。
従業員のメリット
資金を会社の外部(生命保険会社や信託銀行)に積み立てるため、会社が潰れても資産が保全されます。また、一括(一時金)で受け取るか、年金(分割)で受け取るか選択できます。
年金で受け取る場合、2%から最大5%程度まで利息を付けて支給してくれる場合がありますので、年金で選択したほうが圧倒的にお得な場合があります。
また、退職金を減額するのに比べて、企業年金は法律が別にあり、減額の手続きのハードルが相当高いので、そうそうに減額することは困難です。
会社のメリット
退職一時金の場合、会社は「法人税控除後のお金」から支払います。一方で、企業年金の掛金は損金算入できる=節税できる、というメリットがあります。
退職金額の確認方法
会社の退職金(退職金一時金と企業年金の合計)の額を知るには、退職金規程や、確定給付企業年金規約というものを確認する、場合によっては合計する必要があります。
退職一時金の水準は比較的分かりやすく記載があるのですが、確定給付企業年金の規約は権利関係がややこしいため、なかなか分かりづらいかと思います。
その場合は、「企業年金の概況」を探してみてください。
法律で「企業年金の概要」というものを従業員に開示することが義務付けられており、そこに「モデル給付額」という平均的にこれくらい貰えるよ、という額を記載しなければなりません。
今までは会社が社員の人生を勝手に設計してくれていました。
しかし、今は終身雇用制も崩れ、自分の人生は自分で考えなければいけません。
ですので、自分の権利は自分で確認しないと誰も教えてくれません。
是非このブログをきっかけに、なにか皆さまの糧になれば幸です。