FOMCと為替介入。

インフレショック

この1週間でいろんなことがありました。

まずは、注目のFOMC。自分も「たまにはパウエル議長の記者会見をライブで見てみよう」と思い、日本時間夜中の3時に始まる記者会見に合わせて起きてみました。

英語わからない。

変な英語より聞き取りやすいんですが、何分早いんですよね。しかも、日本語と同じくらい細かいニュアンスを捉えようとするから考えすぎて、余計・・・。

とまぁ、英語の勉強のモチベーションが高められました。

さて、本題のFOMCの結果ですが、利上げ幅は市場の予想通り0.75%(誘導目標3%-3.25%)でしたが、年末の利上げ予想の中央値4.4%と発表され、残りの2会合で1.25%引き上げる「タカ派」の発表となりました。

FRBホームページより
FRBホームページより

FOMCの結果発表後は、想定外のタカ派姿勢から株価は下落しましたが、その後すぐに冷静さを取り戻し前日終値を超える水準まで戻しました。

S&P500チャート

しかし、パウエル議長の記者会見が始まり、特に「ソフトランディングの可能性は減少する。」のコメント等に現れる、経済を犠牲にしてでもインフレ抑制するとの非常に堅確な姿勢を示したことから、株価は再度下落を始めました。

My main message has not changed since Jackson Hole. The FOMC is strongly resolved to bring inflation down to 2%, and we will keep at it until the job is done.

The chances of a soft landing will diminish if policy needs to get more restrictive for the Fed to reach its goal of 2% inflation. However, high inflation would inflict greater pain long term.

FOMCパウエル議長記者会見抜粋

日が開けて、日本でも動きがありました。日銀が22日昼に金融政策の据え置きを決めたことで円安・ドル高が加速し、加えて午後3時半から日銀の黒田東彦総裁が記者会見で金融緩和を続ける姿勢を強調すると145円90銭まで円安が進みました。

そして午後5時すぎ、特に材料もなく円高が進行し140円台まで上昇。直後に神田真人財務官が円買い・ドル売りの為替介入を実施したと発表しました。

24年ぶり円買い介入、「断固たる措置踏み切った」と神田財務官
政府・日本銀行は22日夕、円買い・ドル売りの為替介入を実施した。日米金利差の拡大を背景に急激に円安が進む中、24年ぶりの円買い介入によって過度な円安を阻止する姿勢を示した。

政府による円買いの為替介入は1998年以来24年ぶりとのことですが、長続きはしない(円高に戻る)との見方が多いようです。今年3月末で政府の外貨準備の残高は1兆3,561億ドル(約200兆円)であり、これが上限とのことです。

国際決済銀行(BIS)が3年に一度行っている調査によると、2019年4月時点で世界の外国為替市場における1日の取引額は6.6兆ドルであった。そのうち、日本の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は3,755億ドルであった。現時点のドル円レートで換算すると54.0兆円である。介入規模が1兆円であれば、それは一日の取引額の2%未満である。さらに、ドル売り円買い介入の上限となる外貨準備の残高195.2兆円は、外国為替市場の1日の取引額の3.4日分に過ぎない。

政府が円買いの為替介入を実施;効果は限られ時間稼ぎの政策に

円買いの介入は最大でも2.6兆円だった一方で、2011年10月31日には1日の介入規模が約8.1兆円となったように、円買いの効果は円売りと比較して効果が出にくいそうです。

また、過去に為替介入が一定の効果を挙げたのは、主要国による協調介入の場合であり、今回のように日本政府単独の場合、効果は限定的だそうです。なお、米財務省は22日、円買い・ドル売りの為替介入を容認する姿勢を表明し、また、米国は介入には参加しておらず、協調介入ではないことも認めました。

おそらく、また円安に戻るでしょう。

そして、伝家の宝刀を使っても効果がないと分かれば、今まで為替介入に警戒してポジションを取れなかった投資家が動き始め、米国の株価や金利の動きとは別に、より円安が進行することが予想されます。

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