日銀金融政策決定会合の結果公表が19日、FOMCの結果公表が20日(日本時間で21日の朝)に行われました。特に大きなサプライズはなく、為替も株価も大きく動くことなく週末を迎えました。
日銀金融政策決定会合
2016年から続いたマイナス金利が解除されました。利上げという意味では2007年以来17年ぶりということです。前回の利上げを振り返ると、2006年3月に0.0%から0.25%へ利上げし、その後2007年2年に0.25%から0.50%へ利上げ、そしてリーマンショックという時代でした。
今回、マイナス0.1%としていた政策金利を0〜0.1%程度(無担保コール翌日物レート)に引き上げました。長期金利を低く抑え込むための長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れ終了も決めました。
歴史的な出来事でしたが、土日(16日・17日)の時点でbloombergや時事通信で「マイナス金利解除か?」の記事は出ていましたし、yahooニュースでは「マイナス金利解除決定」とまるで土日に政策決定会合を開いたかのような記事も出ていましたので、逆にマイナス金利解除にならないほうがサプライズという雰囲気でした。
個人的には日米金利差が縮小するとして円高進行を懸念していましたが、蓋を開けてみればマイナス金利解除の発表(確か日本時間正午頃)直後は円高に動いたものの、その後はスルスルと円安に進んでいました。リアルタイムで見ていましたが、それなりに円高に進むと報道されてた中での円安進行だったので、チャート見ながら一人で笑っていました。
まぁ考えてみれば△0.1%が0.1%になったところで、米国金利の5%とは焼け石に水の格差ですから、対して影響はありませんよね。加えてマイナス金利が解除される(△0.1%が0.1%になる)ことよりも、「日銀は利上げをするのか。」が焦点になっていましたので、マイナス金利解除が確実視されていた時点で、市場に織り込み済みだったわけです。
日銀政策金利において、直近の0.5%が2007年であり、直近の1.0%がいつだったのかを振り返ると1995年(当時は公定歩合操作)とちょうど30年になるので、1%まで政策金利は上がらないというのが大半のようです。
年内の政策金利の水準予想を聞いたところ、62%が「0.250%まで」と答えた。「ゼロ金利のまま」が22%、「0.50%まで」が14%、「0.50%超」が2%だった。
日銀が最終的に引き上げる政策金利「ターミナル金利」の予想は、「0.25%程度」が31%で最多だった。次が「0.50%程度」で29%、「1.00%程度」が20%と続いた。「ゼロ」金利のままとの予想は6%だった。
ロイターより
為替に関しては、やはり米国の政策金利がどこまで下がるかに尽きるんですかね。ちなみに日経平均株価は今週大きく上昇しまして、41,000円に迫る勢いとなり、史上最高値を更新しました。
FOMC
全会一致で政策金利を据え置くことを決定しました。5会合連続で据え置きました。政策金利据え置きは市場予想通りで、四半期に1度発表される予想に注目が集まりました。
2024年内の利下げ回数は3回と、12月予想が維持されたことが株価にはプラスになりました。
ドット・チャートでは良く中央値が議論に上がりますが、2024年内中央値が前回(12月)と同値(4.625%)だったものの、全体的に切り上がったため、少しタカ派に捉えられた印象です。一方で、経済見通しが引き上げられたので、それほど悪材料にはなりませんでした。
会合後に行われるパウエル議長の記者会見では、今年1月に消費者物価などのインフレ指標が高い伸びだったことに対し、パウエル議長は「季節要因が影響した可能性」としたことや、従来の発言の繰り返しでもありますが、「初回利下げは”年内のある時点”になる可能性が高い」という発言もあり、比較的ハト派的な印象でした。
いつもは緩んだ市場に対してパウエル議長が”一喝”することにより株価が下がることが恒例でしたが、今回はこの発言を受けて、FOMC結果公表後から株価が上昇しました。
さて、FOMCを無難に通過して、次の利下げ見通しは6月または7月という見通しになりました。
年末では今回(3月)から利下げが始まるということがメインシナリオでしたが、特に株価にネガティブな影響を与えることなく、順調に市場と中央銀行の目線をすり合わせているようです。