証券アナリスト受験前に読むべき本。コーポレートガバナンスと村上ファンド。

CIIA・証券アナリスト

4月の後半に証券アナリストの一次試験があり、また6月の二次試験に向けてそろそろ勉強をはじめなくちゃいけない時期になってきました。

いきなりですが、今日は書籍のご紹介です。試験勉強の合間に、是非息抜き程度に読んでほしい書籍をご紹介したいと思います。

生涯投資家

約10年前(2006年)、当時の堀江貴文ライブドア社長と協同した日本テレビの買収で有名になった、村上ファンドの社長、 村上世彰(よしあき)氏の本です。少し前に、テレビにも出演されてましたね。(教えてもらう前と後:2019/1/8)

当時の私にとっては株主とか敵対的買収とかいわれても全然わからなかったので、 「ホリエモンに乗っかってきた人」というイメージしかなかったです。そのあとインサイダー取引で収監されて、ここ10年くらい存在を忘れていました。

数年前に新聞か何かで、村上氏の娘さんもヘッジファンドか何かの社長をやっているというのを見て、親子で経営者ですごいなーと思ったくらいです。

コーポレートガバナンスという考え方

今回、なぜこの本を読もうかと思ったのかというと

コーポレートガバナンス

を勉強しようと思ったからです。この本では直接的にコーポレートガバナンスについて詳しく説明はしていないのですが、暗に分かりやすく、かつ現場がリアルに書かれているからです。

コーポレートガバナンスは、最近よく話題に上がりますよね。最近ですと日産のカルロス・ゴーン元社長の事件で、ガバナンスが効いてなかったとか、その他の会社でも粉飾決算やリコール問題等で、ここ数年「コーポレートガバナンス」という言葉を耳にすることが多くなりました。

さて、このコーポレートガバナンスが、証券アナリストやCIIAとどう関連するかというと直接は関係しません。しかし、コーポレートガバナンスが持つ意味=「株式会社をきちんと経営するということ(株主が存在すること)」を理解することで、コーポレートファイナンスや株式分析で基本中の基本である”株式資本コスト“の意味を理解することができます。

もしかすると、株主資本コストの本質的な意味を理解しないまま、CAPMの公式だけ覚えて、証券アナリスト二次試験(1回落ちてますが)を突破してしまったのは私だけかもしれませんが。笑

資本コストについて

負債コストは、借金で利子取られるからイメージ付くけど、株主資本コスト?なんで15%超えるの?高すぎじゃない?株主は何もしてないじゃん!とまぁ、今考えると株式会社で働くサラリーマンとして、すごいこと言ってました。

本のタイトル「生涯投資家」のとおり、投資家(株主)の目線で、いかに会社に対してリターンを求めてリスクをとっているかがわかります。正直、株主というと、個人投資家で有名な桐谷さん(よくマツコ・デラックスの番組に出てくる人)や、株を持合っている企業のイメージしかなく、いわゆる物言わぬ株主のイメージが強かったです。

逆に、村上ファンド事件のときも「物言う株主とか、何にも知らないのに横から経営に口出ししてめんどくせーやつだな」と総会屋と区別がついていませんでした。仕事でコーポレートガバナンスを勉強する機会があり、それで興味を持ってこの本を読んだわけなんですが、今更ですが株式会社の本来の意義を理解した気がします。

「会社の上場」という行為についても、会社を経営するためのメリットがあるということ(当初は経営者が儲かるだけと考えていました)や、ROE(自己資本利益率)もなぜ注目を浴びているか、といったことも現場を感じながら理解できるようになりました。

また、コーポレートガバナンス同様に耳にするスチュワードシップコード、いわゆる機関投資家としてなすべき投資先との会話(エンゲージメント)についても、正直イメージはなかったのですが、村上氏の実際の投資のプロセス・考え方を通して具体化にイメージできるようになりました。

株主資本コストに話を戻します。

債券を持つ債権者は、会社が潰れた場合、投資資金が保証される可能性があります。
また、利率もあらかじめ決まっていて、途中の時価変動を気にしなければ、毎年のクーポン収入と元本の償還を待つだけです。

一方で、株主は会社が潰れた場合何も保証はありません。さらに、会社の利益が出ないと配当もありません。利益があっても投資に回ってしまえば配当はありません。

それを考えると、株主資本コスト=投資家が求めるリターンは、 負債コストより大きくなりますよね

村上氏のコーポレートガバナンスの考え方

村上氏は、コーポレートガバナンスについて以下のように説明しています。

コーポレート・ガバナンスとは、投資先の企業で健全な経営が行なわれているか、企業価値を上げる=株主価値の最大化を目指す経営がなされているか、株主が企業を監視・監督するための制度だ。
根底には、会社の重要な意思決定は株主総会を通じて株主が行ない、株主から委託を受けた経営者が株主の利益を最大化するために経営をする、という考え方がある。

「生涯投資家」より

米国では1980年代からこういった考え方がある一方、政府主導の元、高度経済成長からバブル期に突入してしまった日本の経営では軽視されていた考え方かもしれません。しかし、投資信託に投資してる私としても、株主の最大の利益を考えてほしいものです。 実際、日本は30年近く経済が低迷しています。米国S&P500は、同じ期間で約10倍になっています。日本なにしてんの!ってなります。

毎年3月末の終値で集計

CIIAですと、論ずる形式の問題が多いので、公式だけ覚えて挑むと痛い目にあいます。そもそも公式集が配布されるので、覚える意味がないです。また、CMA(証券アナリスト)でも、こういった本質的な内容を知っておいたほうが断然勉強が捗ります。

ちなみにCIIAの勉強中に読み始めたのですが、試験勉強の内容とリンクしてるし、参考書でもこんなに生々しい説明は出てこないので、楽しくてあっという間に読み終わりました。

通勤の間に読んで3日間くらい

で読み終わりました。これから勉強される方は読んでみてください。試験勉強の内容が身に付くようになります

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