ドル円が160円突破。

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日本がゴールデンウィーク中の4月29日、ドル円が160円を突破しました。

4月26日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合では政策変更が見送られました。会合後の記者会見での植田総裁の発言が緩和的(利下げには後ろ向き)と捉えられたことに加え、その後発表された米国個人消費支出(PCE)が高い水準となっていたことで、日米の金利差拡大の予見性が高まったことが円安に進んだ要因かと思います。

4月10日に発表されていた消費者物価指数も、2月の3.2%(前年同月比)上昇から3.5%上昇と加速し、過去3カ月のコアは年率4.5%上昇と、昨年5月以来の大幅な伸びとなっており、インフレ指標には敏感になっていた環境でした。

インフレ調整後の実質PCEは前月比0.5%増と、予想を上回り、年初来で最大の伸びを示した。1-3月(第1四半期)のインフレ率上昇は、堅調な家計消費と相まって、金融当局が利下げを実施するにしても、先延ばしするよう促す可能性が高い。来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、借り入れコストは20年ぶりの高水準で据え置かれる見通し。

JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏はブルームバーグテレビジョンで、「高金利でも経済が持ちこたえているという話と、インフレ圧力が根強いという話の両方がある。金融引き締めという観点から話をするのは正しいとは思わないが、すぐに緩和に向かう可能性はかなり低いと思う」と述べた。

bloombergより
米個人消費支出、3月は前月比0.8%増-コア価格指数は前年比2.8%上昇
米金融当局が重視する米個人消費支出(PCE)コア価格指数は3月に堅調なペースで上昇した。継続的な物価圧力に対する懸念を強め、利下げを先送りさせる可能性が高い。

緩和的な環境示唆で”円”のみが弱くなっていたのではなく、ドルも強くなっており、両方が相まっての160円突破だったように感じます。事実ドルインデックスも4月後半にピークを付けていました。

その後の雇用統計発表(5月3日)では失業率が3.9%に上昇、平均時給は前年同月比で3.9%増加と、2021年6月以来の小幅な伸びとなったことから、米国経済への過度な期待が後退し、今月に入ってからは円安進行が一服した状況が続いています。

さて、今回の為替相場についてのニュースはなんといっても為替介入でしょう。一時政府関係者から「4月29日と5月2日の2回にわたり為替介入を行ったことを政府関係者が認めた」との報道がありましたが、5月9日には神田真人財務官が否定する事態となりました。

なお、財務省のホームページによれば、実際に為替介入があったかどうか分かるのは翌月の月末だそうです。

外国為替平衡操作の実施状況

統計の目的
為替相場は、基本的には、各国経済のファンダメンタルズを反映し、マーケットの需給により市場において決定されるものです。しかし、為替相場が思惑等により、ファンダメンタルズから乖離したり、短期間のうちに大きく変動する等、不安定な動きを示すことは好ましくないことから、為替相場の安定を目的として通貨当局が市場において、外国為替取引(介入)を行うことがあります。本統計は、通貨当局が介入した実績額について公表しています。

統計の時期
通貨当局が介入した実績額についてはその総額を一か月毎に、また介入実績の詳細(実施日、介入額、売買通貨)については四半期毎に、それぞれ対外公表しています。

外国為替平衡操作の実施状況 : 財務省
外国為替平衡操作の実施状況のトップページ
財務省ホームページより
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