X(旧twitter)を徘徊していたら、気になる投稿がありました。なんと個別株(NVIDIA)で140倍を達成し、2億円を手にしたとのこと。同様に盛り上がっているビットコインでも同じような話を聞きますが、仮想通貨は税率約50%、一方で株式投資が約20%ですから手元に80%は残ります。
さて、「自分でもこんなことができるのか。」と宝くじに当たることを想定するが如く真剣に考えてみましたが
きっと自分はできない。
という結論に至りました。
もちろん、今回のエヌビディアで初めて考えたわけではありません。過去にはテスラ(TSLA)とか、それこそビットコイン(BTC)でも考えたことはありますが、自分のリスク許容度に当てはめると、耐えられません(=許容範囲を超える)。
エヌビディアの過去のパフォーマンスを振り返ると、5年間の間、単純に上昇を繰り返して20倍になったわけではありません。2021年11月に330ドルを付けてから、その後110ドルまで下落した期間がありました。つまり
70%下落。
したということです。
アップルを例にとると、180ドルから130ドルまで下落したことはありますが、その騰落率は30%であり、半分(50%下落)にもなっていません。30%下落でも凄い下落率ですが。
自分の資産が半分どころか3分の1になってしまうことが耐えられるのでしょうか。考えてみても耐えられません。もう4年前になりますが、コロナショックの大底で吐きそうになりながらも追加投資したことがありました。お陰様で投資した180万円は今のところ円安も重なって3倍になってくれました。
この当時です30%の下落です。加えて市場指数(S&P500)への投資でしたので、ある程度マクロというか、過去の歴史からしても「いつかは戻ってくる」という希望はありました。ただし、これが底値かわかりませんし(「落ちてくるナイフは掴むな」という言葉がある通り。)、底値になるとしてもリーマンショックの時のようにもとに戻るまでに5年以上かかる可能性もあります。
そして個別株は個別株です。市場指数と違って、倒産する確率はもちろんゼロではありませんし、倒産しないにしろ産業がもうオワコンとか、別に会社に台頭されてしまう等、個別リスク(投資理論的に言えば「アンシステマティックリスク」)が存在します。
ただし、夢があります。
市場指標への投資は、個別リスクはない一方で、良くて2倍・3倍しか見込ません。個別株はこのエヌビディアのように10倍・100倍が期待できます。
ここにお金持ちになる理由が存在します。
このツイート主もコメントしていますが、「なくなってもいいや、という精神で投資」と言っています。150万円です。
当時、NVIDIAに150万円を一括投資できたのは、リーマン直後に証券会社の勧めにホイホイ乗って投資したUS REITで得た利益があったからなんですが、今考えても当時の初心屋丸出しのホイホイ行動はかなり危険で、これはほんとにラッキーで得た利益。そのラッキー利益を大好きなNVIDIAに突っ込んだのです。これが無くなってもNVIDIAはまぁ好きだし、NVIDIAが使ってくれて、自分が楽しくなるならまぁいいや!と。正直かなり怖かったんですけどね。
普通の人間からしたら「なくなってもいいや」という金額は、多くても数万円ではないでしょうか。そしてそれが運よく当たったとしても、100倍の数百万円です。日常生活は変わるのでしょうか。やはり、元手が小さいと、当たったとしても効果は小さいです。結局、お金持ちは「なくなってもいいや」という気持ちで、たくさんの量を、たくさんの投資対象に投資できることができます。つまり、リスク許容度が大きいということです。
エンジェル投資なんかはその代表で、30個のうち29個がダメでも、1個が数千・数万倍のリターンになって返ってくるので、他の損を凌駕することができます。一般人だと、その1個に達する前、10個にも満たないうちに資金もしくは精神が尽きます。
それでは、プロに銘柄選定を任せるという選択肢が思い浮かびます。
ベイギーギルフォードのレポートによると、約100年間における米国株式のリターンを調べると、その半分がわずか90社(全体の0.3%)によってのみもたらされてとのことです。最近ですとGAFAMを指すS&P5が、他の銘柄の指数(S&P495)を大きくアウトパフォームしていることが、良く分散投資の皮肉として挙げられました。
アリゾナ州立大学のベッセムバインダー教授の調査によると、1926年から2016年までに、米国株式市場で生み出された富の合計は、上位1092社の株式が生み出した富の合計と同等でした。
ベイギーギルフォードより
更に驚くべきことに、その半分は90社(僅か0.3%の企業)によって生み出されました。それは、残りの全ての銘柄がマイナスという意味ではなく、残りの全てが生み出した富の合計が1か月物の財務省証券と同じであったとの意味です。大半の富は少数のアウトライヤー(外れ値)によってもたらされたのです。
の大きな富を創造した企業以外に9,579社(全体の37.8%)が富を創造したが、それは残りの14,661社(同57.9%)
による負のリターンによって相殺された。従ってこの間に米国上場株式を通じて創造された富の全ては、上位
4.3%(1,092÷25,332)によって説明できる。
確かにやはり僅かな銘柄が市場全体をけん引することは理解でき、市場全体に投資することがベストとは言えないかと思います。ただし
その銘柄を適切に選択できるか。
は、また別の論点かと思います。実際にベイギーギルフォードのアクティブファンドの実績を見てみると「銘柄選択がうまく機能して市場を凌駕している」とは言えない状況です。
パッシブ運用の伝道師のような言葉ばかり並べてしましましたが、これでも常に「アクティブ商品に投資しなくては。」と常日頃考えています。ただし報酬率の面やリスク許容度の面、再現性の面など、なかなか費用対効果を踏まえると一歩を踏み出せない状況でいます。
最後にツイート主さんの投資の心得を参考として載せさせていただきます。
人の弱さに抗うルール、特にプロスペクト理論に打ち勝つルールを設定したこと。
人の心はほんとうに弱い。
これは、私がトレードをやり始めたころ、流行っていたスワポ生活(FX)に飛びついて大きな損切りを経験したことから自身に課した絶対ルール。例えば、
- 毎年、特定の時期に資産全体のリバランスを必ず行う
- 口座を用途ごとに分けて長期投資用は毎日見ない
- 性格に合わない超短期トレードは絶対にやらない
- 完全自動のシステムトレード、botプログラミングは性格的に逆に触り続けて時間的コスパが悪いので絶対にやらない
- 損切りはゆっくりと小さく利の乗った銘柄で可能な限り相殺し利の大きく乗った銘柄を大きく残す
- トレードが怖い気持ちの時ほど大きく乗る
- トレードが怖くない気持ちの時は小さくこまめに
- 流行った後からは基本的に乗らない
など
他にも色々とあった気がするが、その辺はトレード心理に染み込んでいてすぐに言葉になって出てこない。