FRBが今の株高を認定?

市場環境

12月16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれました。

政策金利は市場の予想通りゼロ金利(フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標0.00~0.25%)で据え置かれました。また、追加緩和については、パウエル議長は「必要になれば追加緩和に踏み切る」と述べたものの、今回は米国債などの買い入れ量を増やす追加緩和自体は見送りました。

市場では追加緩和の期待もあったようで、「追加緩和がない」と判明した瞬間株価は下落しました。

国債など資産購入については新たな指針を盛り込んだ。従来は国債等の資産購入に関する指針について「今後数カ月にわたり保有額を増やす(over coming months)」としてましたが、「雇用の最大化と物価の安定という委員会の目標に向けて、かなりの進展があるまで(until substantial further progress has been made toward the Committee’s maximum employment and price stability goals)」との具体的な記載に変更しており、事実上、資産購入を長期にわたって続ける方針を示しました。

一方で、今後の経済見通しを上方修正しました。

まず、金利の見通しですが、17人の参加者のうち12人が23年まで利上げしないことを想定。前回見通しの9月時点より1人減ったものの、過半の参加者がゼロ金利の継続を支持しています。

FOMCホームページより

また、実質経済成長率(real GDP)については2020年はマイナス3.7%からマイナス2.4%へと上方修正。2021年も4.2%成長と、9月の予想から0.2%上方修正しました。失業率の見通しも、2021年は5%と、9月の見通しから0.5%上方修正しました。

FOMCホームページより

しかし、今回のFOMCで重要だったのは、パウエル議長が現在の株高についてコメントしたことです。記者会見では、「現在の資産価格は定量的には少し高いと思うが、赤信号ではない。」というコメントに加え

Asset prices are a little high in that metric in my view, but overall you have a mixed picture. You don’t have a lot of red flags on that.

またPER(株価収益率)について、「現在の10年国債利回りの水準を勘案すれば、世界的に見てそれほど過大評価されたものではない」ともコメントしています。

But that’s maybe not as relevant in a world where we think the 10-year Treasury is going to be lower than it’s been historically from a term perspective.

確かに金融政策は金利を下げてお金を借り易くし、企業の倒産やダウングレードを防ぐという役割もあります。そこについては、株価が”赤信号”(=バブル)にならないよう、非常に注意深くモニタリングしていく姿勢ということでしょう。

ブルームバーグホームページより

さて、金融政策をまとめているうちに、議会で混迷を極めていた9000億ドルの財政政策(追加金融緩和)のほうの議論もまとまりつつあるようです。失業保険の特例措置や中小企業の雇用維持策が12月末で失効してしまうことに加え、年末で政府機関がシャットダウンしてしまうことから緊急の予算(土日の2日間)を組んで、19日と20日の両日議論していました。

米、9000億ドル追加コロナ対策発動へ 与野党大筋合意 - 日本経済新聞
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前回は大人1人最大1200ドルだった現金給付を、今回は追加で600ドル給付する政策を織り込んでいます。トランプ大統領が署名し、追加のコロナ対策が成立すれば、3月以降の臨時の財政出動は合計で4兆ドル規模になります。12月20日にはこの追加経済対策に加え、21会計年度予算も採決する方針で、バイデン次期政権の発足を前に目先の懸案は解消されるようです。

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