AIバブル崩壊か。

市場環境

11月5日(木)の米国株式市場は、ハイテク株や半導体関連株を中心に大幅な下落となりました。

前日の水曜日には、米中間選挙の結果を受けて株式市場が上昇していましたが、その楽観ムードはわずか1日で一変。投資家の間でAI関連投資の先行きに対する懸念が広がり、売りが売りを呼ぶ展開となりました。

指数前日比
NYダウ-3.44%
S&P500-4.36%
ナスダック総合-5.52%
ラッセル2000-4.45%
フィラデルフィア半導体指数(SOX)-12.2%

特に目立ったのが、ハイテク株の下落です。ナスダック総合指数は5.52%安となり、2025年4月以来の大幅な下落を記録しました。また、直近の最高値から約12%下落し、調整局面入りとなりました。S&P500も4.36%安となり、2025年4月の関税ショック以来となる大幅な下落です。これまで市場を牽引してきた大型ハイテク株やAI関連銘柄に売りが集中しました。

今回の株価急落の背景として、最も注目されているのが米国の中間選挙の結果です。

今回の選挙では民主党が大きく躍進しました。これを受けて投資家の間では、今後の米国におけるAIデータセンター建設や関連インフラ投資にブレーキがかかるのではないか、という懸念が広がりました。

現在の米国株式市場を支えている大きなテーマの一つがAIです。NVIDIAをはじめとする半導体メーカーだけでなく、Microsoft、Amazon、Googleなどの巨大テクノロジー企業が、AI向けデータセンターの建設や設備投資を積極的に進めています。その恩恵は半導体メーカーにとどまりません。データセンターに必要な電力設備、冷却装置、サーバー、ネットワーク機器など、幅広い企業に成長期待が波及しています。

しかし、データセンターの建設には膨大な電力と水が必要です。地域住民による反対運動や電力網への負担も問題視されており、民主党の躍進によって環境規制や建設許可の審査が厳しくなる可能性が意識されました。

実際に、米国ではデータセンター建設に対する地域レベルでの反対意見が強まっています。つまり、今回の下落は単純に半導体企業の業績が悪化したという話ではありません。これまで市場が期待してきたAI関連の設備投資が、今後も同じペースで拡大するのかという、成長シナリオそのものへの疑問が生じたのです。さらに、AI関連企業の株価はこれまで大きく上昇してきたため、投資家の間では利益確定売りも出やすい状況でした。

今回の下落で最も大きな打撃を受けたのが半導体関連株です。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は約12.2%下落しました。これは2025年4月以来の大幅な下落であり、半導体関連銘柄に対する投資家の警戒感が急速に高まったことを示しています。

銘柄11月5日の下落率
NVIDIA-9.3%
AMD-17.3%
Micron-17.2%
Marvell-16.4%
Qualcomm-9.5%
SanDisk-22%

今回の急落で特に注意したいのが、レバレッジETFへの影響です。レバレッジETFは、対象指数の日々の値動きに対して2倍、3倍といった倍率で連動することを目指す金融商品です。代表的な商品であるTQQQとSPXLも、今回の急落で大きな下落となりました。

投資対象11月5日の下落率
TQQQナスダック100の3倍-18.92%
SPXLS&P500の3倍-13.06%

年初来で見ると、S&P500はまだ8%の上昇の一方で、TQQQ(ナスダック3倍レバレッジ)はマイナス圏に突入してしまいました。半導体銘柄の上昇一時60%以上上昇していましたが、その高値から40%下落しています。

指標年初来騰落率年初来高値からの下落率
S&P500+7.8%-5.7%
ナスダック総合+5.8%-10.9%
TQQQ-0.3%-40.1%
SPXL+12.1%-18.1%

さて注目された米中間選挙が終わりました。今のところトランプ大統領は結果を受け入れる姿勢を見せています。米国株式市場には、4年に一度の大統領選挙だけでなく、その中間に実施される「中間選挙(Midterm Elections)」に関連した株価の季節性が存在します。

過去のデータを見ると、中間選挙が行われる年は株価が伸び悩みやすい一方、選挙後の半年間は上昇傾向が強まるという特徴があるようです。実際、1970年以降の中間選挙では、選挙後約6か月間のS&P500の平均トータルリターンは14.1%。一方、中間選挙がない年の同じ期間のリターンは5.7%でした。

中間選挙は、短期的には不透明感を高めるイベントである一方、終了後には株式市場の追い風となる可能性があるようです。今回の下落は絶好の買い場だったのか。もうしばらくしたら検証してみたいと思います。

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