台風でMEGABIGが熱いらしいのでアクチュアリーが確率計算してみた。

アクチュアリー

スポーツくじのMEGABIGの期待値が爆上がりらしいです。

理由はこの台風で、今週行われるサッカー12試合の得点(4パターン)を予想する公営ギャンブルなのですが、12試合中4試合が中止(中止の場合、自動的に「当たった」とみなされる。)ことから、通常と比較して4の4乗である

256倍

当選確率が上昇しているとのことです。ちなみにあと1試合中止になっていたら、規定上ノーコンテストだったということで、確率を最大化するところで無事開催されることになりました。

話題となっている第1476回は8月31日の17時50分に購入は締め切られましたが、一部で大量に購入した人もいたりで、毎回の売り上げが4~6億円に対して、今回は47億円(概ね10倍)まで上昇したようです。

さて、自分はMEGABIGはもちろん、宝くじも購入したことがない人間なので少し仕組みを調べてみました。

驚いたのは競馬と同じように「どのチームが強い」と予想するなど多少知識が必要なのかと思ったのですが、顧客側(購入側)は何も選択する余地もなく、自動的にランダムに決められてしまうそうです。

また現在キャリーオーバーも発生していることも「熱く」なっているとのこと。(正確には約60億円がキャリーオーバーされているようですが、仕組みは良く分かりませんでした。)

なお、スポーツくじについてはまず50%が手数料や振興費に使われ、残りの50%を当選金に使用する仕組みなっています。

2023年度の事績を確認してみると、確かに総売上高の50%に対して、上記の当選金配分割合が適用されていました。一方で1等は当たる・当たらないが存在しており、2023年度中開催された(中止とならなかった)60回中1等は9口のみでした。

https://www.jpnsport.go.jp/sinko/Portals/0/sinko/sinko/pdf/2023_syukei_HP.pdf

スポーツ振興くじホームページより作成

MEGABIGの総口数(2023年度合計)は売上金額の370億円から逆算(1口300円)すると、約1.23億口なので、1位に当選する確率は1370万分の1(1.23億口÷9口)であり、概ね理論値である「1680万分の一」に一致します。なお、「枚数(ものによっては投票数)」というのは1枚で複数口買えることを指すようで、口数とは関係ないようです。(MEGABIGは1枚で3口計算?)

今回(第1476回)はこの回だけで1600万口(15,710,882口)販売されているので通常確率でも理論上誰か一人は1等を手にすることになりますし、「確変(256倍)」が起きている今回は240人程度が1等に当選する確率になります。

さて、計算してみました。それっぽいこと言えば、確率1/4もの2項分布です。ふと気づいたことですが、確かに当選確率は上昇していますが、分配金が相応に下がっています。1等は確率が256倍になっている代わりに、今回は分配金(売上金額の35%)も240人に分配されることに加え、キャリーオーバーである60億円も240人に分配されることを想定すると、1等の当選金額は約3千万円まで小さくなってしまいました。2等に関しても通常1千万円だったものが6万円まで減額される想定です。

当選確率はもちろん上がっているので期待値に関しては通常の0.38倍から1.77倍へと上昇しています。しかし、1等に当選した場合のウェイトが期待値を相応に占めているため、1等が外れた瞬間に0.14倍に低下します。なお、通常の場合はそこまで1等のウェイトが大きくないため、1等が外れても0.14倍程度しか低下せず、奇しくも今回と同じとなります。

結局キャリーオーバーにどれだけ群がれるかのゲームになるため、1等に当たる・当たらないかが256倍の恩恵を受ける・受けていないかになります。つまり、

まず6.5万分の一の土俵に上がらないと台風の恩恵を受けられないゲーム

になっています。それでも1600分の一よりも確率は高い(256倍)ですが。

上記の約25万口を購入された方を例に取ってみると、2等以下はそれなりに大数の法則が当てはまると仮定すると、2等以下の当選金額合計の期待値は約1千万円となります。おそらくこの程度の事象数であればそんなにぶれないのではないでしょうか。(例年2等の当選金額は3千万円ほどなのでだいぶ下がっています。)7千万円以上購入したとのことなので、1等を2つ当てないと元が取れないことになります。

期待値は確かに爆上がりましたが、結局は確率の低い部分の金額が大きくなっている(今回でいえばキャリーオーバー部分が全体を持ち上げるような計算になっている)だけであって、なかなか大数の法則が適応できる事象ではないように思えました。

個人的には2等以下のところの期待値も上がって、大数の法則が当てはまる世界で勝負できるのであれば、次回以降台風の時の暇つぶしにしようかなと思っていたのですが。

なお、6等は300円の最低保証があるとか(上記の計算だと今回の当選金額は40円程度の想定)、キャリーオーバーの計算はなんとなくしているだけなので、実際どうなるか結果を楽しみに待ちたいと思います。

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