CIIAに良く出るので、為替パリティの整理をしてみました。

CIIA・証券アナリスト
Money is any item or verifiable record that is generally accepted as payment for goods and services and repayment of debts

とうとうやってきました。証券アナリスト(CMA)のときは、完全に無視していた分野。それは為替(国際証券投資)です。

おなじみ「新・証券投資論(実務編)」でも、範囲外だったのか、下線やマーキングがされておらず、自分が全く読んでいないことがバレバレな状況でした。

しかし、とうとう過去問にも出てしまったので、整理しようかと思います。ちなみに過去問(2016年9月:経済)は以下の通り。

a)カバーなし金利パリティ式の変数と式の意味を簡潔に説明したうえで、スポット為替レートを決定するために、同式をどのように活用できるか説明しなさい。ただし、国内外の金利と将来の為替レートを所与とし、TRY(トルコ・リラ)を自国通貨、USDを外国通貨と想定して回答すること。

b)カバーなし金利パリティ式を用いて、各変数がスポット・レートに与える影響を説明しなさい。

ぶっちゃけ、「カバーなし金利パリティ式」どころか「スポット為替レート」の意味も良く分からないですけどね。泣

世の中に存在する金利は、必ず「スポットレート」か「フォワードレート」かのどちらかに分類される。スポットレートは、現在と将来の一時点の間に適用される金利のことをいう。たとえば、現在、1年後、2年後、3年後と4つの時点を考えたとき、それらの4つの時点の間に適用される金利は、6通り考えられる。現時点をスタートラインとする金利をスポットレートと呼ぶ。
(野村証券ホームページより  分類:金利・為替

将来というものを考えるにあたって、「将来の為替レート」には2つの種類のものが考えられる。「将来」を一年後とすると、1つは「1年後の直物為替レート」である。もうひとつは「1年物のフォワードレート」である。
(Wikipediaより)

とのこと。なんとなく雰囲気は掴みました。

パリティとは

ちなみに為替のこのあたりで出てくる主なワードは、以下のとおり。少なくとも押さえておきたい内容です。

  1. 購買力平価(Purchasing Power Parity)
  2. 国際フィッシャー関係
  3. フォワード・パリティ
  4. カバー付き金利パリティ
  5. カバーなし金利パリティ

ちなみパリティは「同額、同等、一致、同等であること、等価 」という意味らしいです。

上記5つの考え方により、金利・インフレ・為替関係を説明します。なお現実には「カバー付き金利パリティ」以外は成立しているか疑わしいものらしく、一方で理想的な世界における状態を理解しておくこともベースとしては必要とのこと。

図1:国際パリティ関係

為替パリティ

それでは5つの考え方をそれぞれ説明します。

購買力平価

購買力平価とは、2つの国のインフレ率に格差が生じた場合にも、両国通貨での購買力に格差が生じないように為替レートが調整される考え方です。購買力平価の考え方は一物一価(同一の商品の価格はどこでも同じ)に基づいており、価格差が生じていても自動的に価格差がないところに均衡するはず、という前提に立っています。
なので、インフレ率に格差が生じている場合

為替レートの変化率=2国間のインフレ率格差

が成り立つというものです。例をあげると、現在の為替レートが100円/ドルで、日本のインフレ率が0%・アメリカのインフレ率が5%の場合、約95円/ドルの為替レートになっていくというものです。ハンバーガーを一物一価とすると、日本では100円のままですが、米国では1ドルだったものがインフレで1.05ドルになるので、100円=1.05ドルとなり、為替レートが約95円/ドルとなります。

国際フィッシャー関係

1国内でのフィッシャー関係式は、「名目金利=実質金利+期待インフレ率」とするものです。これが2国間になるということで

2国間の名目金利差=2国間の実質金利差+2国間の期待インフレ率格差

となります。図1では、2国間の実質金利が等しい場合の関係を示しています。

フォワード・パリティ

これは至ってシンプルです。ある投資家が将来のスポット為替レートの予測をE(S)と考えていたとすると

フォワード為替レート(先物為替レート)=予想スポット為替レート

になるというものです。あたりまえじゃん、と思う関係式ですが実務ではあまり成り立っていないとのこと。

カバー付き金利パリティ

個人的には、5つの関係式で一番納得できる関係式です。図で見て貰ったほうが早いと思います。

図2:カバー付き金利パリティ

図2のとおり、1年間国内の金利で運用するのと、一度外国通貨に変換し外国金利で運用することは等価(パリティ)であるという前提に立ちます。

Getting Started MathML F(1+ i D )= S(1+ i F )

近似して

Getting Started MathML F / S 1 i D i F

となり

現在のスポット為替レートとフォワード為替レートに対するプレミアムは内外金利差に等しい

ということが言えるようになります。

カバーなし金利パリティ

最後です。結論を先に言うと、「カバー付金利パリティ」と「フォワード・パリティ」を組み合わせて

現在のスポット為替レートと将来のスポット為替レートの変化率は内外金利差に等しい

です。フォワード・パリティ的に(実際に成り立つかはさておき)フォワード為替レート=将来のスポット為替レートでしたからね。ちなみに何が「カバー付」「カバーなし」とかいうと

1年後のフォワード為替レートを用いる場合は為替変動リスクがない(あらかじめフォワード為替レートが決まっている)ので、カバーのある(リスクがカバーされている)と言う意味で、将来のスポット為替レートはあたりまえに為替レートが変動するので「カバーなし」というそうです。

分かったようで、分かんないような・・・

少なくとも上記の関係式により、2国間の金利差・(期待)インフレ率格差わかれば、フォワード為替レート(先物為替レート)および将来のスポット為替レートが分かる(理論的には)ということです。

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