ゴールドマン・サックスのストラテジストがS&P500の2020年末予想を3600と、従来予想の3000から20%上方修正したニュースが流れました。
3600で着地と考えると、2020年初のS&P500の水準は3258だったので、2020年のリターンは約10%となる予想です。なお、私のブログの記録によると、ゴールドマンサックスは2020年初に出した年末予測は3400でした。その後コロナショックの最中一度引下げ、今回3600に上方修正しました。
運用会社の2020年末予想(2020/8/25時点)
その他の運用会社の見通し(2020年8月25日)は以下のとおりです。最大が3600、最少が2800、平均が3141となっています。
シティのストラテジストは、投資家が過度に楽観的であり、過去には相場の波乱要因だったであろう多くの問題を無視している点や、バリュエーションが魅力的ではなくなっている点については懸念している一方、企業業績は予想以上に堅調であり、公衆衛生危機を巡る進展は歓迎されるとの見方を示しています。
さらに「われわれは依然として市場が先走っているかもしれないと考えているが、米金融当局は米株の10%台の下落を防ぐために『何でもする』だろう」とし、「ここからS&P500が500下がるかと言えば、ノーだ」とコメントしています。(上記リンク記事より抜粋)
弱気相場(リセッション)の終焉
S&P500の着地情報修正に加え、マーケットで騒がれていることは、史上最短で弱気相場が幕を下ろしたということです。マーケットは幾度と○○ショックを経験してきました。新しい所では2009年のリーマンショックや、2000年のITバブル崩壊、古くはブラックマンデー(1987年)、ニクソンショック(1970年)があります。
高値から20%以上の下落を”弱気相場”と定義していますが、振り返ってみれば今回は2月下旬から33日で回復局面になっていました。
過去の弱気相場(○○ショック)を振り返ると、経験則的に過去の弱気相場ではほぼ例外なく「二番底」が訪れていました。今回のコロナショックでは2番底らしきものが確認されずに、過去最高値更新となりました。
しかし、過去に例を見ないスピードの金融緩和・財政政策が実施されたことや、取引がほぼ電子化され、様々な要因が瞬時にマーケットに反映される時代になった今だからこそ、短期的なリセッションに収まったと言われています。
今後の株価の見通し
このままゴールドマンサックスの年末見込みに向かって穏やかに上昇が続くのでしょうか。
CFRAのストラテジスト(サム・ストーバル氏)は、モーニングサテライト(テレビ東京)で、以下のとおり一時的な下落はあっても弱気相場にはならないとコメントしています。
弱気相場が終わり(S&P500)が最高値を更新した1~2か月後、走り続けて疲れたマラソン選手のように一時的に5%~15%下落する可能性はある。ただし弱気相場には戻らないだろう。
また11月には大統領選挙を控えています。2016年11月の前回選挙を振り返ると、誰もが「まさか勝たないだろう」と考えていたトランプ氏の勝利報道を受けて、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)も時間外の先物では一時▲5%程度下落しましたが「同氏が勝利会見で普通の大統領のように振舞った」ことが好感されたほか、大統領に加えて議会上下院も共和党が多数を制したことで「親ビジネス的な政策」への期待が高まり、結局、NYダウの9日終値は前日比+1.40%となりました。なお、選挙翌日9日の日経平均株価は前日比▲5.36%の急落となりました。
今回バイデン氏が当選するとねじれ国会が解消されると、政策の進行がスムーズになることから、株価にはメリットだという見方もあります。先のストラテジスト(サム・ストーバル氏)も、大統領選挙後は上昇が続くとしています。
第2次世界大戦後、選挙のあった年を見ると、やはり景気には配慮したいという候補者たちの考えがあるから、前回選挙の2016年を含め18回中13回が「値上がり」したという実績です。確率で言うと、72%という高さになります。
大統領選は波乱の材料かと思っていたら、意外とマーケットにはポジティブですねトランプ大統領が当選した2016年は、当時上司が「株価下がってるよ~」と嘆いていましたが、あれは日経平均株価に限ったことだったんですね。