米大統領選挙でバイデン氏が当選しても市場は混乱しないと思ってる。

市場環境

11月3日の大統領選まで1ヶ月を切りました。また、大統領選の戦略なのか分かりませんが、約2兆ドルの追加経済対策も大統領選挙前に実施されるかどうか、一進一退を繰り返しています。

米追加経済対策を巡っては、トランプ大統領が一旦交渉を中断すべきだと呟いた一方で、マーケットがネガティブに反応すると直ちに、9日に1兆8000億ドルに増額して野党・民主党に再提案しました。しかし、協議はまとまらず、ムニューシン米財務長官は11日、中小企業向けの給与保護プログラムを巡る法案を単独で直ちに採決すべきだとコメントする等、混乱しています。

一方でマーケットは、9月にハイテク株の調整による大幅下落がありましたが、どうやらバイデン氏の大統領当選を織り込んでいるらしく、トランプ大統領の発言に関係なく10月は上昇しています。

米国の追加経済対策を巡っては、協議の難航が懸念されているものの、「トリプルブルー」(大統領、上下院を民主党が制する)による大規模な経済対策への期待が高まっていることや、バイデン氏は増税を主張している一方で大規模な財政出勤を計画していることから、マーケットとしてはポジティブに捉えてきているようです。

事実、大統領選挙におけるバイデン氏とトランプ大統領の差は、バイデン氏優位で拡大しているようです。またこれに合わせて金利(米国10年)も上昇しています。バイデン氏が当選すれば大規模な財政支出のための国債発行→債券の超過供給→債券評価額低下→利回り上昇、という流れを織り込み始めていると言われています。

つまり「大きな政府」を目指すバイデン政策では、経済への影響は8兆ドル(にも上る可能性があり、単純に10年平均で毎年のGDPを0.8兆ドル (約4%)も押し上げる規模になることが見込まれます。その財源ですが、増税で賄えるのは4兆ドルに過ぎず、残りの多くが国債増発によって調達されることになります。

そもそも金利上昇は資金調達等のお金の流れ制限する効果があるので、株価にとってマイナスですが(特に今回は将来に負担を先送りにする財政支出拡大による国債増発)、FRBによる積極的な国債買い入れが期待されています。

金利が上昇してしまうと、せっかくゼロ金利にまで引き下げた政策効果が薄れてしまうため、FRBも財政拡大に呼応して、国債買い入れを拡大することで金利上昇は抑制される可能性が大きいとのこと。つまり、FRBの国債買い入れによって再度市中にキャッシュが溢れかえり、そのキャッシュが株高に向かうだろうと考えられています。一方で、キャッシュが増加することによるドルの下落→円高となる可能性もあるため、為替は逆に働いてしまいますが。

なお、一般論として戦後の大統領選挙を見てみると、大統領選挙のあった年の7割はプラスリターンで終えているようです。このうち再選に失敗したのは75年のフォード大統領、79年のカーター大統領、91年のブッシュ(父)大統領の3人。このときも株価が暴落したかと言えば、そうではありませんでした。

というわけで、少し前は「バイデン氏が当選した場合は増税の影響でマーケットが悪化する」という意見をよく耳にしていたと思いますが、今はバイデン氏が当選した場合でも180度マーケットの捉え方が変わってしまったかと思います。

逆に言えば、個人的には、もうすでにトランプ大統領だろうがバイデン大統領だろうがどっちが来ても臨機応変にという雰囲気が浸透しているように思え、10%ほどの調整がくることがあろうとも、20%近い暴落はないと考えてます。

というわけで次は「大統領選挙後」を考えなければいけません。第一に考えるとすれば、ちゃんと企業業績は復活するのかという視点かと私は考えています。ですので、第3四半期の決算はしっかり見ていかなくちゃと考えています。

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