11月のFOMCでテーパリングが決定したかと思えば、11月22日に来年2月で任期を迎えるFRB議長の人事が発表されました。大方の予想通り、パウエル現議長の続投でした。
パウエル議長は共和党員であるため、現与党の民主党の一部からブレイナード氏を推す動きがあったそうですが、米国民の間で経済状況への懸念が深まる中で、大統領が最終的に下した結論はパウエル氏再任でした。
パウエル氏の再任報道があってから、先行きの金融政策に対する不確実性が低下(金融政策の連続性を担保)したことで、利上げが想定通り行われるとの見通しから、長期金利が上昇しました。長期金利は、それまで1.6%台に顔を出したり出さなかったりしていた水準でしたが、感謝祭で米国市場が休場を迎えることもあってか、1.694%まで上昇しました。
合わせて、日米金利差の拡大から、ドル円も115円台まで円安に進みました。
また、パウエル再任(内定)を受け、利上げ見込みも進みました。テーパリング決定後(11月13日)の2022年内の利上げ見込みは、「2回」が29%から23%に上昇し、「4回」が17%から22%に上昇しました。つまり、以前は2~3回がメインシナリオだったものが、3~4回に変化したということです。
金利上昇が本格化すると思っていた矢先、飛び込んできたニュースが
オミクロン(新型コロナ株の新種の名称)
新型コロナウイルスの新たな変異株が南アフリカ共和国で特定され、同国の当局者は深刻な懸念を表明した。世界保健機関(WHO)は「B.1.1.529」と呼ばれてきた同変異株の名前にギリシャ文字のアルファベットから「オミクロン」を割り当てた。
bloomberg
ギリシャ文字で「O」に該当するものを、オミクロンと呼ぶようです。まだ日本はもちろん、米国でも感染者は確認されていないようですが、英国株(501Y)が発見されたとき(2021年3月頃)はあっというまに新型株に置き換わっていったので、いくら水際対策してももう・・・という感じでしょうか。
新型株が発見されてからのマーケットの反応は早かったです。
瞬く間に売られる日本株はもちろん、欧州株、米国株といずれも2~3%下げました。金曜日と言うこともあって、翌日以降マーケットが閉まってしまうということも拍車をかけていたのかもしれません。
NYダウも一日で1000ドル下げる場面もありました。
前日までパウエル議長再任で上昇していた金利も急転直下。一気に1.4%台まで下がりました。
金利が下がれば・・・ということで、日米金利差縮小に加えてリスクオフの局面にもなり、為替も一気に円安に進みます。前日の115円から113円まで1日で2円近く下げました。完全に米国金利上昇による円安ムードだったので、FX勢の方々は大丈夫だったのでしょうか。
市場の利上げ予想(Fedwatch)も、利上げに弱気に推移し、「来年1度も利上げしない」確率が、一気に上昇しました。
ウイルスはどうしようもないので、人間の文明の進化を信じて、もう少し下がったら買い増ししたいと思います。