何を隠そう、今年度になってからまだ1日も有休休暇が取れていません。泣
実は今年度に昇格しまして、管理職っぽい立場になりました。「ぽい」というのは明確に部下が出来たわけではないので、対外的に「長」が付くわけではないので、そう表現しています。ただし、教育的なことをする役割が明確に強くなったり、プレイヤーとして1点見据えるのではなく、より多面的に物事を考えなくてはいけなくなりました。
ということで、何か新しい仕事をしなくちゃいけないわけではないのですが、今までは「まぁ先輩が最悪責任を取るだろう。」と好き勝手やっていたことが、今度はその立場を自分で担うことになったので、少し慎重になるような行動原理になりました。
「好き勝手にやっていた」といってもネガティブに好き勝手やっていたわけではなく、自分でいうのもなんですが先輩がリスクを取ってくれる代わりに、No.2として人道指揮を取ったり(もちろん常に報告・確認は取る)、いろいろ資料を作ったり根回し的なことを”勝手に”やったりと手は動かしてはいました。
また、「責任を取るだろう」ということについても逃げるわけではなく、もちろん失敗したときに各関係者に謝りに行ったり書類を作るような仕事はします。しかし、自分の性格上、その指揮を取ることはとっても興味がないし、興味がない分体力も相応に削がれるので、それが株式のごとく「有限責任」(=自分の投資範囲ならぬ行動範囲のみ責任を取る)であったので、前だけ見ていれば良かったわけです。とはいっても、失敗らしい失敗はしてないのですが。たぶん。
ということで
やることは同じ
ではあったのですが、やはりリスク(=自分の嫌いなことを率先してやらなければいけない)があると、途端に身体が重くなりました。ごめんなさい歴代の先輩・上司。
具体的には「これくらいで考えておけばいいでしょ。」とポンポンと(リスクを考えずに)物事進めていたのですが、それが途端に自分に不利益が来ることを1%でも考えてしまうと「もう少しこうしよう」と考えてしまい、余計な準備をするようになってしましました。「余計な」というのは「今までしていなかった」だけで、一般的には必要な事かもしれませんが、今のところ分かりません。なんとなく今まではバリアを2枚は考えていたのですが(さすがにバリア1枚は・・・)、今では4枚くらいまで考えてしまっている次第です。
そこについこの前までプレイヤーであった自分もいるので「この3枚目・4枚目のバリアを他人に任せるのは気が引ける」という感情が生じ、なんだかんだ自分でやってしまっています。プレイヤーの自分であったら、同じ状況で任せられたら「そんなに準備いらないだろ。何びびってんだこいつ。」と全力で拒否するので。笑
加えて職務内容としても教育的な目線も高くなったというか明確に役割として責務を負っているので、基本的には「来るもの拒まず」でこの半年間は過ごしています。そうなると、日が沈むまでは相談に乗ったり、相談に乗ったからには進捗を気にしたりして、自分の仕事に戻るのは夜になって皆が帰ってから・・・というサイクルになっています。声をかけて貰っているだけ良いんですかね。夜周りを見渡すと相談に乗った人たちは皆帰っていて、自分だけになっていると少し悲しい気持ちになりますが。
そういえば休日出勤も今の会社になってから初めてしました。休日の入館の仕方も分からず、それはそれで大変でした。
今のところ「休日出勤がレア(半年に1回)」で留まっておりますが、逆に言えば毎週予断を許さない業務状態になっているわけで、有休休暇は取れる余裕は今のところありません。メールも1日置いておくと、画面の下から上まで未読メールが溜まります。自分の場合は未読メールを「赤色」にしているので、朝から晩まで外出・会議が入っていて、夜にメール画面を見ると真っ赤になっています。
さて、自分の話になってしまいました。
アクチュアリー界の一般論からすると漏れなく全勝消化できます。
偉くなると他部署との折衝が多くなるのでそうはいかないかも知れませんが、40代程度までは有給休暇取得にハードルらしいものは感じませんでした。
まず、若手に限って言えば
「試験勉強します。」
と言い放ってしまえば、上司も文句を言えません。なんたって、究極のバックオフィス(裏方部門)であるアクチュアリーファームでは「ミスをしない。」が唯一の減点項目である代わりに、「合格者が何人出たか。」しかボーナスの加点項目がありません。
個人はもちろん、アクチュアリー部署のボーナス評価KPI(Key Performance Indicator)でもあるので、部長はもちろんお局のお姉さまのボーナス額に直結します。課長であろうと、次長であろうと、部長であろうと誰も有休休暇を否定することはできません。
お察しいただけるかと思いますが、有休休暇を試験勉強のために本当に費やす者もいれば、3割くらいは大学の同期なのか彼女なのか分かりませんが海外旅行に行き、決して図書館にいるだけではありえないような日焼けをして来る者もいました。その人は予想通り「なんでそんなに日焼けしているの?」と上司に質問されていましたが
図書館の窓際の席にいたので。
と説明している者もいました。上司ももちろん察してはいると思いますが、最終的に試験に合格すればなんでもいいので、特に追及はされていませんでした。
もちろん受験中の者のみの特権でなく、合格した同年次の者でも「なんであいつは休めて、先に受かった自分は休めないのか。」という雰囲気を漂わせておけば同様に有給休暇を取得できます。普通の会社・部署であればそこの頑張りに多少のボーナスの多寡が関わってきますが、そこは前述の通り、赤手については試験合格以外は特に査定に影響ありません。
さて、試験が終わっているミドルレンジ(30代~40代)はどうやって有休を取得するのでしょうか。
そのからくりは
アクチュアリー会の委員
です。
たいていアクチュアリー会の正会員になると、アクチュアリー会の各種委員を担うことがあります。ホームページ等を管理する広報委員、試験の運営を担当する試験委員、年次大会を担当する総務委員、最近では2026年に国際アクチュアリー会が50年ぶりに東京開催を決めたことから、この委員会も立ち上がっています。
これ以外にも各社協働で論文を発表したり書籍を作成したりする委員会もありますので、正会員は何かしら委員を担うことになります。試験委員であれば試験が開催される12月に向けて、年次大会委員であれば例年11月に開催されるのでその時期に向けて週1回のペースで集まることになります。
そのため、「今日課長いないんですね。」となっても正直休みなのか委員で終日出かけているのかは分かりません。もちろんちゃんと調べればわかるのですが、「誰かがいない」ということに対してあまり気にしない文化です。
加えて業務内容も、基本法律・規制改定がない限り毎年同じ作業の繰り返しですし、やはりフロント(営業)と違って俗人的に仕事をするわけではないのでマニュアル等も当然整備されています。むしろ整備されていないと金融庁等からお叱りを受けます。
現場でも、重要な数字を扱うので3人掛かりでチェックするのもザラなので、何か人一人突然いなくなっても、一瞬は困るかもしれませんが、1時間たてば「調べるか人に聞けば仕事は進むか・・・」と前を向けるような業務ばかりです。
念のために補足しておくと、じぁ文系の営業上がりの人が来て、周りの人に聞けば・マニュアルを読めばできるかというと、少なくとも大学生レベルの数学・統計知識や、最低限の規制(保険法・年金法)を知らないと
この人たち日本語喋っているの?
レベルに陥ります。時期や業務の内容にもよりますが、算数的内容でも平気で微分積分、ガウス分布(正規分布)、中心極限定理(CLT:central limit theorem)は既知の言葉として使われます。
そういう意味では、やることやっておけば教授に怒られない理系の研究室という意味で楽しい職場だと思います。
他のことやりたい!と飛び出してしまった自分ですが、老後は戻りたいと切実に思っています。