S&P500が最高値更新。

市場環境

6月27日にS&P500が2月19日以来となる高値を更新しました。

トランプ関税ショックで、4月7日の安値(4835)からS&P500が30%近くも反発したことになります。割安・割高を示すPERも30近くまで上昇しています。

上記のPERは実績利益を使っている一方で、株価は”見込み”で動くものなので「利益」のほうも予想を使うべきかと思います。ゴールドマン・サックスの予想では、S&P500の利益は7%成長して262ドルになると予想しています。そのため、予想PERは24程度となり、概ね過去平均程度となる見込みです。

In total, Goldman Sachs Research forecasts that S&P 500 earnings-per-share will grow 7% in 2025 to $262. That’s slightly above the median strategist 2025 forecast for a 6% increase to $260.

The team’s estimate incorporates a modest drag on economic growth and a one-time boost to inflation from tariffs, which is likely to weigh on some sectors. But this is expected to be offset by growth in certain sectors such as information technology, communication services, and healthcare.

Kostin’s team forecasts that the S&P 500 will return 5% over the next 12 months, reaching 6500.

US Earnings Will Start to Show the Impact of Trump's Tariffs
Second-quarter S&P 500 earnings may offer clues on how President Trump’s tariff policies are affecting companies.

さて

気になるのはトランプ大統領の減税法

です。

7月4日、トランプ米大統領が自身の看板政策である大型減税・歳出法案に署名し、同法は成立しました。減税措置の延長のほか、チップ収入を得る労働者への一時的な税制優遇、不法移民の取り締まり強化に向けた資金拠出などが盛り込まれ、3兆4000億ドル(約490兆円)規模の経済政策となる見込みです。

トランプ氏の「大きくて美しい法案」、その内容と課題とは-QuickTake
米議会は数日間にわたる交渉と土壇場での駆け引きを経て、大型減税・歳出法案を可決した。トランプ大統領の内政政策の実現に向けた大きな一歩となった。

法案は5月23日に下院で賛成215、反対214の僅差で通過し、上院でも7月2日に51対50の僅差で通過しました。法案修正のため下院に送られ、結果は賛成218、反対214で法案は成立しました。

議会予算局(CBO)は、この法案によって今後10年間で米財政赤字が3兆4000億ドル増えると予測しており、米国の信用不安につながっています。

米国金利は下げ渋り、他通貨との相対的な強さを示すドルインデックスも大きく下落しています。

米国の財政不安が拡大したため、超長期金利も上昇しています。具体的には10年利回りとの差が拡大しており、3年ぶりの水準まで上昇しています。

減税政策で景気が刺激され株価は上昇しそうですが、金利水準が高い場合はどうなのでしょうか。ゴールドマン・サックスのレポートでは

金利水準と株価は関係ない

と説明していました。

How do higher interest rates affect US stocks?
Rising bond yields can limit the growth in stock valuations and reduce company earnings.

金利上昇は、株価バリュエーションの潜在的成長幅の縮小や企業収益の減少など、様々な形で株式市場に影響を与える可能性があるとしながらも、レポートでは債券利回りの水準そのものは株式市場にとって、金利に影響を与える要因ほど重要ではないと述べています。

The levels of bond yields themselves are not as important for stocks as the factors that are affecting interest rates, Goldman Sachs Research chief US equity strategist David Kostin writes in the team’s report. “Equities typically appreciate alongside rising bond yields when the market is raising its expectations for economic growth but struggle when yields rise due to other drivers, like fiscal concerns.”

「多くの投資家は名目利回り5%が株式市場の転換点になると指摘しているが、我々はそれほど確信していない」とコスティン氏はチームのレポートで述べており、1940年以降のS&P500指数の年間リターンを金利に基づいて分析したところ、両者の間に明確な関係は見られなかったとのことです。

“Many investors point to 5% nominal yields as a key tipping point for stocks, but we are less convinced,” writes Kostin in the team’s report. An analysis of annual S&P500 returns since 1940 based on interest rates shows that there has been no clear relationship between the two.

ただし、債券利回りの変動速度は株価に影響を与えます。歴史的に、利回りが1ヶ月で2標準偏差以上上昇すると、株価は低迷してきたとのことです。今日では、2標準偏差の月間変動は約0.6%であり、足元の水準を踏まえると、10年利回りが4.9%まで上昇すると危険水域になります。(今年1月の水準と同程度)

また金利が上昇すると、企業の借入コストが増加するため企業活動に悪影響を与えます。しかし、金利が大幅に上昇したにもかかわらず、S&P 500構成銘柄の実質借入コストは2022年初頭からわずかに上昇したにとどまっています。これは、S&P 500構成銘柄の債務の72%が2028年以降も固定金利であるためです。一方で、金利の上昇は金融株の収益増加と関連しています。

その結果、ゴールドマン・サックスの見通しとして、S&P 500指数に基づく1株当たり利益(EPS)モデルによると、債券利回りが100ベーシスポイント上昇した場合でも、EPSへの純影響はほぼ中立であると言っています。

総じて、ゴールドマン・サックスのコスティン氏は「経済成長が継続し、FRBの政策金利据え置きによって利回りは高止まりし、金利圧力から隔離された強固なバランスシートを持つ企業に対する投資家の選好が続くと予想している」と記しています。

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