「働き方改革」という言葉が巷では広がっていますね。
また、働き方改革に合わせて「副業」も解禁される流れになっていますね。
残業の合理性
よく外国(米国・欧州)では、「残業なんてしてる人は無能の証」「部下が残業しているのは、マネジメントの能力が足りないからだ」と言われているようで(うそかほんとか)、日本でもここ最近では、このような雰囲気が漂ってきている感じがします。
とはいえ、雰囲気だけで、私の周り(私を含めてですが)では、あまり実態は変わっていないように思えます。いつかは日の出ている時間に家に帰って、読書したり、早くジムに行って十分な睡眠時間を確保したいものです。
働き方改革によって、日本はそんな社会になっていくのでしょうか。
そんな中、「なるほどなぁ~」と思った本の内容があったので、ご紹介したいと思います。CIIAの勉強にも使いましたが、ここ1年くらいの間に買った本。
証券アナリスト2次試験に合格したものの、仕事というか“一般常識として「経済」を勉強せねば”と思い、買った実用書です。経済のポイントを「大きい字で」「分かり易いイラストで」「ちょうどいい分量で」まとめてくれています。
本のタイトル通り「10時間」で読み終わるならば、通勤の時間で一日30分読めば、1ヶ月で読破できます。
この本の中で
長時間労働は合理性がある
と紹介しています。
日本の”残業”の歴史
日本人一日あたりの年間平均労働時間は、1970年代までは2000時間を超えていました。しかし、90年代から徐々に減少しはじめ、現在1800時間程度になっています。
「大学4年間の経済学が10時間で学べる」より
年間の営業日が220日あるとして、1日の既定の勤務時間を7.5時間とすると、月の平均残業時間は 30時間になりますね。高度経済成長期でも数字上は、意外と普通だ・・・
まぁ当時がちゃんと統計が取れていたかはなんとも言えないところではありますし、女性も含めた平均となると、このような数字になるのでしょうか。
「90年代から減少」とありますが、これは非正規雇用が多くなってきたということが要因だそうです。というわけで、労働環境の雰囲気は、この半世紀変わらず・・・
正確かどうかは保証できませんが、日本の労働環境と欧米の労働環境の大きな違いは、「従業員解雇の難易度」かと思います。
よく欧米の話を聞くと”すぐ「fire」(解雇)される“と聞きます。
日本の労働環境は、労働者に対してかなり手厚い環境になっているそうです。ただし、これは日本の行政や経営者が優しいのではなくて、戦後や高度経済成長期おいて工場労働者がかなり搾取されたという悲しい歴史があったからとのこと。
日本人の「奉公」精神からなのでしょうか。欧米では労働組合が強い発言力を持っていますが、日本は名ばかりのイメージです。
なぜ合理性があるのか
話を戻しますが、この解雇の難易度が、 日本の長時間労働を助長しているそうです。
理由はシンプルで
企業からすると、採用・解雇・教育訓練などにかかる固定費が大きい雇用ほど、長時間労働を要請する誘因があります。
「大学4年間の経済学が10時間で学べる」より
不況でない平時に多めの残業をするようにしておけば、不況期は残業代を圧縮するできます。そうすると、採用や教育に多大な固定費を投じた雇用者を解雇しなくて済みます。つまり、企業にとっては、効率的に人的投資の回収を行うための手段としての合理性を持っています。
つまり、日本は一旦従業員を雇用してしまうと、不況期に仕事がなくて人が余ったとしても、なかなか辞めさせることができません。なので、今いる人材で乗り切ろうとするわけです。
欧米では業務量の変動を「採用・解雇」で調整するのに対して、日本は「残業」で調整するわけです。
”長時間働くリスク”と”突然解雇されるリスク”どちらがよいのでしょうか。
突然解雇されることは怖いですが、逆にいえば雇用の流動性が高いのであれば、そこまで悲観することはないでしょう。能力があれば、ステップアップになると聞きますし。
雇用が守られた中での長時間労働は確かに安心できますが、その会社でしか通用しない能力しか伸びないです。同じ環境にしがみ付かなければいけないので、うつ病の発症リスクも高いように思えます。
上記のとおり、日本の雇用環境下で残業を減らすならば、雇用の流動性も高める政策も含めて進めてほしいものです。
経団連も終身雇用制にギブアップ宣言をしましたが、今後の日本の労働環境はどうなっていくのでしょうか?