ロシアとウクライナの戦争(紛争?)で忘れ去っていましたが、結局決算はどうなったのか気になりました。
振り返って見ると、Appleは前期比売上高11%増の好決算でした。一株利益(EPS)も市場予想の1.9ドルに対して2.1ドルとなりました。翌四半期(2022年1-3月)も増収率が2桁になる見通しを発表し、翌日のマーケットでの株価は、7%高の170.33ドルと、20年7月31日以来の大幅上昇となりました。
一方で、Meta(旧Facebook)の落ち込みが注目された決算期でもありました。
Metaの売上高は前年同期比20%増(337億ドル)だった一方で、純利益は8%減(102億8500万ドル)となり1株当たり利益は3.67ドルでした。市場予想(EPS3.84ドル)を下回ることとなったことに加え、ユーザー数が伸び悩んでいること(月間29億1000万人)や、規制当局との対立、翌期の売上高見通し(302.5億ドル)が悲観され、翌日の株価は1日で26%下落しました。
この株価下落は、1日で約2,400億ドル(約24兆円)分の時価総額が喪失したことになります。これは、米国企業が1日で失った時価総額としては過去最大となったことで、多くのメディアで取り上げられました。
さて、注目企業の決算が済んで、喉元を過ぎてしまっていましたが、利上げやウクライナ侵攻という不確実性が高い中、2021年10-12月の米国企業全体の決算はどうだったのでしょうか。
現時点で公表された企業は、S&P500の構成社の約99%(473/500)で、そのうちの8割近くが市場予想(コンセンサス)を超えました。売上高(Earning)は前四半期(2021年7-9月)比で32%の上昇となりました。
つまり
米国企業の績は堅調に推移
となっています。結果として2021年4QのEPS(予想※)は54.14、2021年通期のEPS(予想※)は208.49となるようです。
※EPSの計算方式も、ボトムアップ方式なのか、インフレ調整後なのか、S&P500指数の構成変更も調整後なのか等、色々種類があるようで、なかなか各会社(主にFactsetやRefinitiv、Standard & Poor’s)の数字を参照しましたが、実績ですら一致することを確認できませんでした。
今後の売上高(Earning)予想も堅調にみており、2022年1-3月期も10%上昇を見込んでいます。EPSも2022年は225.68と年率で8.2%上昇を予想しています。
つまりPER(株価倍率)が一定ならば、株価指数も8.2%上昇するということです。PERが25倍ならば、S&P500の2022年末予想は5625ということになります。(足元4,330)
ただし、最近の状況を受けて、2022年の業績見通しは徐々に下方修正されています。2022年1Qの業績見通しにについて、2021年12月末から2022年2月末にかけて、EPSが1.2%下方修正されました。
During the first two months of the first quarter, analysts decreased earnings estimates for companies in the S&P 500 for the quarter. The Q1 bottom-up EPS estimate (which is an aggregation of the median EPS estimates for Q1 for all the companies in the index) decreased by 1.2% (to $51.62 from $52.22)
Factsetより
具体的には、2021年12月末時点では、前四半期比5.9%のEPSの上昇(2021年4Q→2022年1Q)を見込んでいたものが、2月末時点では4.8%上昇に下方修正しました。下方修正の主な理由は、原油高(この2か月間で27%上昇)による航空や宇宙開発セクターの落ち込みです。具体的な説明はなかったのですが、一般消費財(Consumer Discretionary)の下落影響も大きく、これはレジャーやホテル、レストランの影響だそうです。インフレ(原油高含む)や景気後退見通しの影響でしょうか。
結論としては、2022年はコスト増や金融引き締めが経済に与える影響などに注意が必要であるものの、今のところ米国企業の強さを損なうほどではく 、業績全体としては着実な増益基調が継続するとのことです。