金価格でブラックスワン発生。

市場環境

国際市場で金価格が1日で約 9.5%下落しました。

これは1983年以来の大幅な下落幅とのことです。下落した要因としては歴史的な金の急騰(からの利益確定)に加え、トランプ大統領による次期FRB議長の指名が重なったことで発生したとのことです。

指名されたウォーシュ氏は元FRB理事であり、過去の政策発言では現在の量的緩和・超低金利志向を批判し、中央銀行の役割・規模縮小を唱えてきました。そのため、これまでの「トランプ政権における積極的な利下げ」とは違うと受け止められたことでドルの強化が意識され、「金からドル」の巻き戻しが起こったためと言われています。

指名したと伝えられた30日の午前9時頃からドルが強くなっていることが分かります。

金の年間平均ボラティリティは約16%程度となっており、日次の変動幅に直すと一般的な日次標準偏差は 0.6%〜1.0%程度となります。これを踏まえると、9.5%の下落は

約13σ

に相当し、まさにブラックスワンということになります。

確率で表すと「10の39乗」分の一となり、これは落雷に当たる(生涯)=約6〜7σ、隕石が家に直撃=約8〜9σ、地球に直径10km級小惑星衝突=10σ前後よりも稀な事象です。宝くじ(1等=1,000万分の1)で言えば、1回当たる確率が約 5.3σであるため、7回連続で当ててやっと13σに近づく数字です。

人生7回遊んで暮らせる、とのこと

ここまでくると「稀に起こる事象」という解釈ではなく、平常時ボラティリティを前提にしたモデルが完全に破綻したことを意味します。過去の有名なブラックスワン事象を比較すると、以下の通りだそうです。

ブラックマンデー(1987):6〜7σ
LTCM破綻(1998):8σ
リーマンショック:7〜9σ
スイスフランショック(2015):10σ超

さて、奇しくも金価格のブラックスワンを呼び寄せたFRB人事ですが、2026年1月30日の大統領指名からパウエル現議長の任期(2026年5月15日)までどのように進めていくのでしょうか。

指名後、上院銀行委員会が公聴会を開き、候補者の審査・質問が行われます。ここでの質疑応答は、候補者の政策姿勢や独立性、経済観などが検証されます。この委員会では過去に共和党・民主党双方の議員から厳しい質疑があるため、承認可否が議会の駆け引き材料になる可能性があります。現時点でウォーシュ氏の承認について、共和党の一部上院議員から慎重論も出ており、上院内での支持集めが必要になります。

銀行委員会で承認されれば、上院本会議に進み、全上院議員による投票(51票以上の賛成が通常必要)で承認されます。ここで承認されると、候補者は正式にFRB議長に就任できる条件を満たします。議長の任期は4年です。

なお、大統領に指名された時点で

ほぼ就任確定

というのが歴史的な事実とのこと。大統領が「指名」を発表する前に、実際には財務省、ホワイトハウス人事局、与党上院幹部、上院銀行委員会関係者との水面下の擦り合わせが行われており「上院で通らない人物は、そもそも指名しない」というのが暗黙のルールです。

強いて緊張感が高かった事例を挙げるとベン・バーナンキ再任時(2010)は金融危機直後であったため、上院で反対票が相当数出たものの承認は得ています。

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