最近、イラっとしたことがありました。
数か月前に管理職っぽい立場になったことは、このブログでも書いた記憶がありましたが、プライヤーとしての業務は引き続き持つことになり
紛うことなきマネージングプレイヤー
となりました。完全に業務量が「オン」の状態となり、上から落ちてきた目標・指標を咀嚼して下に流すだけでなく、自らも兵隊となって頑張っております。給料はというと、お察しのとおり残業代が付かなくなる「食べ放題」メニューとなりまして、おそらく(ちゃんと計算して現実と向かい合うのが怖い)30時間が損益分岐点なのですが、ゆうにこの時間は超えており、残業代がフルに付いていた頃と比較すると単純比較では下がりました。
もちろんチームの数字をまとめたり、いろいろ仕掛けを作ったりというマネージャー業務自体は多くないのですが、何分相談に乗る時間が増えました。大人になってからアクチュアリーだったり、CFAという試験勉強にプライベートな時間を費やすことに何も罪悪感を感じない知識オタクなので、例に漏れず業務知識も知らず知らずのうちに周りより蓄積されたこともあり(業務歴としては周りの人の半分くらいではあるのですが)、1年ほど前からよく相談を受けることはありました。なお、私はまず自分で調べてしまいますし、業務自体ももう何回か回しているので新しいことに遭遇することもないため、私から何か他人に質問することは1週間に1回あるかないかです。
それが今回、マネージャー(相談・教育も含めて明確に役割となった)となったため、同じプライヤーとしての立場だと遠慮していたものが解き放たれ、今までの2~3倍ほど件数として相談を受けることが多くなりました。
自分も知識を独占して
立場を優位にしよう
などは微塵も思っておらず、出世欲ももちろんないので(早く資産運用で生きていきたい)、むしろみんな賢くなって「自分に楽させてくれ」という発想しかありません。また、サークルみたいにワイワイ・ガヤガヤ仕事するのは好きなほうなので、無視されるよりはむしろ声をかけてくれたほうが嬉しいです。
ちなみにこういった雰囲気になるのはアクチュアリーとしての前職はもちろん、大学の時も同じような状況でした。アクチュアリー職時代はプログラミングが周りと比較して得意だったのでそれ関連の相談、大学時代では都内の有名私立大学に合格していた一方で、経済面から自宅から通える範囲でしか大学の選択肢がなかったので結局偏差値を下げた大学に行かざる得なく、結果として大学では相対的に「勉強できる奴」ポジションに据えられ、テスト前は「勉強を教えてくれ」と引っ張りだこでした。
いわゆる「断れない人」の典型ではありますが、現在に話を戻すと、マネージャーとしての上司からの宿題、いろんな人からの相談を終わらせて、
やっとプレイヤーとしての自分に戻るのは午後8時
という状況になってしまっていました。数年ぶりに仕事中にレッドブルを飲みました。カフェインと糖分取りすぎな気がするので、30歳を超えてからは飲まないようにしていましたが。
さて、前置きが長くなりましたが、いろんな人から相談を受けます。自分の作業・思考を中断して。
ほとんどの人は「人の時間を奪っている」という感覚を持っていらっしゃるので、柔らかい姿勢というか、さすがに高圧的に「教えてよ」と来る人はいません。一方で、たまに「会ったことないけど名前は聞いたことある」という遠縁の親戚のような人からも相談があるのですが、先日マナーが悪い人からの連絡があり、結果として強く怒ってしまいました。
まず電話で相談が来ました。
大前提として、この相談を受けたからと言って私には何もメリットはありません。ホリエモンこと堀江貴文氏も提唱しているように、電話をしてきて相談または依頼してくる人にロクな人はいません。その電話を出ることが私の仕事であれば良いのですが、前述したとおり私には何の責任もメリットもありません。
「自分の時間」を奪う最たるもの。それは「電話」だ。 僕は「電話に出ないキャラ」を確立している。電話で話す必然性のない用事なのに、やたらと気軽に人の電話を鳴らす者がいるが、僕は絶対に応答しない。相手がどんなに偉い人であろうが、僕は「電話に出ないキャラ」になると決めている。電話は多動力をジャマする最悪のツールであり、百害あって一利ない。仕事をしているときに電話を鳴らされると、そのせいで仕事は強制的に中断され、リズムが崩れてしまう。
コミュニケーションとして会話の雰囲気に重きを置きたい、1分1秒を争う緊急のものならば仕方がないのですが、大抵電話で相談・依頼してくる人はそのような事態であることがありません。
電話してくる人(あとやたら「少し時間を貰えないか」と小さい会議を入れてくる人もそう)は、一方的に「あれして。これして。」を言うだけで
「言ったからな。」「お願いしたからな。」
という責任だけ押し付けて去っていきます。私が「わかりました。(善意で)対応します。」と答えていないのにも関わらず、回答のエビデンスがないことをいいことに。
また、相手は特に情報や今後の方針を整理して相談しに来たわけでなく、その整理や会話内容を記録するコストも含めて押し付けてきます。そういう人に限って、後々会話の内容を整理すると、最初のほうと後のほうで話が食い違って再度私から確認する手間が増えたり、当たり前ですが隙間時間で対応している(こちらとしては興味がない)ので、ちょっとトイレに行っただけで頭から細かい情報を忘れてしまっていること多々あります。
良く「電話のほうが早い」と言っている人は知らず知らずのうちに、いろんな負荷を相手に押し付けていますので、そこは気を付けてください。また、「この話関係者にも共有しておいたほうが良い」と思った場合、内容を言語化して、さらに関係者に展開するコストもこちらで負担することになります。最初からメールにしておいて貰えれば、それを関係者に転送するだけですので容易です。
とはいえ、メールだけの乾いた関係ですと、それはそれで弊害もあるので、メールを送った後に電話するか、少なくとも電話しようとした姿勢を見せるだけでも「こいつ配慮してるな」と思うので着信を残しておくのが私のお勧めです。もちろんメールが来るたびに電話も毎回来るのはうざいので、メール3回~4回に1回は電話するとか、距離感については相手によって変えています。
あと電話でも直接話しかけれるのも同じなのですが、集中を中断されることは私にとって相応のコストです。メールであればパソコン画面のポップアップでタイトルが表示され、今見るべきか、一旦放っておいていいのか判断できます。一方で電話や声掛けは重要度が分からず、どれだけ重要な事か、どれだけ緊急なことかも分からないのに対応しなくてはいけません。
まさにこれが冒頭の「イラっとした事」です。具体的には「ちょっとしたデータほしい」という内容の電話が金曜日の18時にありました。まず、この時間に依頼してくるということは月曜日の朝でも良いはずです。それどころか、「土日も忘れないようにタスク管理しなくちゃいけない」という義務=精神的コストが私側に発生します。
これだけでも気分が悪いのに、私が「月曜じゃダメなんですか?」と聞くと「周りの人から君にお願いすれば5分で終わると聞いたから、チャチャっとやってよ。」と言ってきました。
はい。出入禁止にしました。
お店ではないので「二度と私に電話をしてこないでください。」と伝えました。
確かに作業はものの5分ですが、それは慣れていればの話で、実際は私があまり触ったことがないデータで
・データ取得のシステム操作方法を思い出す
・データが取れたとしても相手が期待するデータなのか
・期待した結果出なかったら代替手段を提案
・メールを作って送る
という一連の流れが想定されます。もちろん電話でこのような依頼が来ているので、メモは取っているとはいえ正確なデータ名、取得の意図を記録・言語化するのはこちらのコストです。相手は送られてきた来たデータが違ったり、合っていたとしても期待した数字が出ていなかったら「もう一回別のデータを取って。」と言うしか術はなく、結局このやり取りに私がアグリー(同意)した瞬間、1回のやり取りでは終わらない義務も私が背負うことになります。結果期待値として最悪2時間(金曜日の夜)をこの1本の電話のせいで自分の仕事外に費やすことになります。彼の言う「5分」は理想論のことで、実際にはそれで終わらない可能性のほうが高いのに、そのリスクも相手への負担も考えず電話してきたことに怒りを覚えてしまったわけです。
加えて、すぐさまその5分前に状態が戻るわけではありません。
根本的に労働が嫌いな自分にとって「仕事を始める」という動作に移るのにはとても労力が必要です。自然体に任せてしまうと「お腹すいたからまずコンビニ行ってから」とか「トイレ行ってから」と
仕事をしない理由はいくらでも見つかります。
その一方で「この仕事終わらせないと怒られる。」という小学生のようなデメリットと比較して、やっとこさ席に座って仕事を始めたところなんです。だいたいこの状態に持っていくのに20分~30分を要します。先ほどの電話一本が、また私を30分間に戻すのです。
集中力を維持するのもそうなんですが、単に手を動かして仕事が進むのならばもっと簡単に戦闘態勢にはいります。しかし実際の業務では、色々な数字を触りながら「これで合っているのかな。」とか「この数字で説明できなかったら、あのデータ見て、あの計算して・・・」と机に座っている時間=進捗となるわけではありません。
そういった「もしかしたらうまく仕事進まないかも。」という恐怖(進まないものは進まないで済まないので、どうにかして終わらせなくてはいけないのですが。)を感じながら仕事をしています。
それはさながら「息を止めて水の中にいなくてはいけない」という心境に近く、「呼吸ができない」等の恐怖が詰まった水の中(集中という研ぎ澄まされた空間)に、覚悟を決めて無理やり潜らなければいけません。一度潜ってしまえば、その状態を継続することは容易いのですが、それが分かっていながらも深呼吸したり準備運動したりと、時間を要します。
将棋漫画らしからぬタイトルは、将棋版の盤面9×9の81マスに潜る者(ダイバー)の意で、主人公の真剣(賭け将棋)師・菅田健太郎が勝負に集中し手を深く読むことをダイブと称していることから来ている。
このように自分の想定以上に見えないところで「人の時間を奪っている」ということは反面教師として常に意識はしていなくてはいけませんね。取り合えず、早くお家に帰れるようになりたいです。