サラリーマンをしていると、社外の初対面の方とは名刺交換をします。名刺交換をしてまず気にするのが肩書き(役職)。
一般的に複数人から名刺を頂いたときは、机の上に肩書き順で並べます。頂いた名刺の並べ方は人それぞれですが、私は縦に上から偉い順に並べます。
部長、担当部長、部長代理、課長、課長補佐、課長代理、係長、主任、主査、パートナー、グループマネージャー、マネージャー、リーダー、アソシエイトと会社によって数多くの肩書があります。
正直、部長さん以下は話している雰囲気とか、名刺交換の順番でなんとなく判断します。
また、部長さん以下はそのあと商談のたびに会うことが多いので、まぁ最初のタイミングで間違っていててもあとあと修正したり、雑談ができるようになったら「そうだったんですかぁ~笑」と挽回のチャンスがあります。
一番緊張するのが、役員以上が出席するとき。そもそも出現確率も低いですし、意思決定者でもあるため、粗相はできません。
役員も執行役員や、常務、専務、取締役、社長、会長といろいろあります。
紛らわしい肩書き名
一番迷うのが
執行役員⇔取締役
執行役⇔執行役員
社長⇔代表取締役
あたりでしょうか。
常務執行役員、常務取締役、常務執行役の3人が出てきたら、順番を正確に言えますか?笑
例えば自動車メーカーで有名な「Honda」場合、ホームページを見ると、下記の役職(肩書き)が存在します。
※2019年6月時点
・取締役会長(1名)
・代表取締役社長(1名)
・代表取締役副社長(1名)
・専務取締役(2名)
・取締役(7名:監査等委員含む)
・取締役相談役(1名)
・常務執行役員(8名)
・執行役員 (18名)
法律上の肩書
調べて行くと肩書名は、“法律上の名称“と”俗称“の2種類に区別されることが分かりました。ここでいう法律とは”会社法“のことで、法律上必ず設置しなければいけない役職の肩書名となります。
代表取締役や取締役、監査役といった肩書がこれにあたります。
一方で、会長、社長、専務、常務、執行役員といった肩書は法律上の規定はなく、昔からの慣習みたいなものです。
個人的には上に書いた順で偉くなっていくイメージですが、専務・常務はあまり区別が内容です。
会社法のルール
株式会社を設立すると、一般的には会社の機関として株主総会や取締役会を設置しなければなりません。
チュートリアルの徳井さんの一件は、徳井さんのみ(=取締役)だったようで、取締役会は設置不要の設立形態だったようです。
会社の機関とは、会社の意思決定や業務執行を行う組織のことです。
株主総会
株式会社の意思決定の最上位に位置するのが株主総会です。
取締役会のある株式会社では、株主総会から業務執行における具体的な権限が委譲されているため、株主総会では以下のような大まかな意思決定をします。
・役員の解選任
・資本金の額の増加
・剰余金の処分 等
今回はメインの話ではないので、株主総会についてはこんな程度で。
取締役会
一方で、具体的な経営方針の意思決定を行うのが取締役会です。
取締役会の人数は原則何人でもいいですが、一般的に3人以上です。取締役の解選任は株主総会で行われます。取締役会では一般的に以下のような内容を決議します。
・業務執行の決定
・取締役の職務の執行の獲得
・代表取締役の解選任
上記のとおり、代表取締役は取締役の中で決めます。代表取締役の権限としては、業務執行権と代表権を持ちます。
結論
結論をいうと、社長と代表取締役を比べると、経営権(取締役会のメンバーかどうか)の違いから
代表取締役のほうが偉い
ということが分かりました。あくまで法律上の責任という観点ですが。
社長が創業家出身で株式をたくさん持っていて、そもそも「株主として権利がある」という場合もありますのでそのへんは適宜対応してください。
また、常務執行役員、常務取締役、常務執行役でいうと、少なくとも一番格下(失礼ですが)は常務執行役員です。常務も執行役員も俗称であり、法律上は平社員と同様従業員であり立場は何も変わりません(雇用形態が異なることはありますが)。
一方で「取締役」と「執行役」は会社法上の”法律上の名称”で、法律上の権限を持っています。取締役は、言わずもがな取締役会での決議権を持っており、会社の重要事項や経営方針を決めることができます。執行役は委員会設置会社でのみ登場する役職で、取締役などの役員が決定した重要事項や方針を実行する役割を担います。
取締役と執行役については、個人的意見ですが、どっちが偉いという考え方はないかと思います。あくまで「監督と執行の分離」という原則に立っていて、どちらも対等の立場であるからこそ、組織をまとめてガバナンスのしっかりとした経営を行っていく枠組みだと思います。
おまけ(委員会等設置会社)
最近増えてきているのが、委員会等設置会社です。
委員会等設置会社は株式会社の一種です。従来の株式会社では取締役会が経営の監督と執行(実務)を同時に担っており、コーポレートガバナンス的にどうかという考えがありました。
欧米では監督と執行の分離が一般的で、この形を日本風に取り入れたのが、委員会等設置会社という形態です。
取締役会は業務の執行をしつつ、その監督もしているので、「ほんとに自分のやったこと監督できてるの?」という疑問が出てくるということです。はるか上流の話すぎて私は思いもしなかったのですが。
2019年現在で約80社の委員会等設置会社があります。
委員会等設置会社は、取締役会の中または外に、指名委員会・監査委員会・報酬委員会を置き、監督は取締役会が、業務執行は執行役が行うことになっています。ややこしいですが、執行役員と執行役は異なり、執行役は法律(会社法)上の名称になります。
今回は肩書きについてなので、各委員会について深く説明はしませんが、具体的にイメージを持ってもらうために みずほFGと三菱電機との組織図を置いておきます。
ちなみに、日産自動車も今回のゴーン社長の一件もあって、委員会等設置会社に移行することとなりました。
今後は委員会等設置会社も増えてくると見込まれるので、役職名には少し気を付けていきましょう。