【ビックバン宇宙論】物理を勉強する前に絶対読んだ方がいい。

雑記

2019年10月8日にノーベル物理学賞が発表になりました。

私が物理学科出身なので、どうしても毎年気になってしまいます。今年は、宇宙誕生初期の研究について、プリンストン大学教授のジェームズ・ピーブルス博士、いずれもジュネーブ大学教授のミカエル・マヨール博士とディディエ・ケロー博士の3人が受賞しました。

研究の内容を見ましたが、少し前の「重力波」や「ニュートリノ振動」ほどキャッチーな内容ではないらしく、あまり丁寧に紹介してるところはありませんでした。汗

今回は、CIIAや証券アナリストからは離れてしまうのですが、理系の大学生に是非読んでほしいと思う書籍を紹介したいと思います。

ビッグバン宇宙論(サイモン・シン)

簡単に内容を紹介すると、物理学、またはそれに付随する数学の発展について、ピラミッドの時代からアインシュタインの相対性理論に至るまで、数式なしで物語ってくれます。

一番最初に地球の大きさを測ったのは誰なのか?

なぜ布を羽織っただけの人たち(ギリシャの人たち)が、月や太陽の大きさを測れたのか?

今宇宙の研究はどこまで進んでいるのか?

そもそも現代人は地球の半径がどれくらいあるのか知っているのはどれくらいなんでしょう。高校生の教科書にしたほうが良いと思うくらい分かりやすく、かつもっと知りたい!という知的好奇心をくすぐってくれます。

暇を持て余してたのか、リンゴが落ちるまで凝視したニュートン。地動説を唱えて捕まり、400年ぶりに謝ってもらったガリレオ。最初は公務員だったのに相対性理論を皮切りにどんどん偉くなっていきアインシュタイン。歴史上最も頭がいいと言われ、原子爆弾の最も効率的な爆発のさせ方を、当時のパソコンよりも早く計算した、ジョン・フォン・ノイマン

言葉は知っていたけど何のことか分からないといったことについて、時代背景も含めて分かりやすく説明してくれます。上下巻の二冊構成になっていて、上巻はピラミッド作っていたころから1900年手前の産業革命まで。

下巻になると、宇宙の大きさや成り立ち、ひょんなことから産まれた「ビッグバン」という言葉、どうやって宇宙の大きさを測るか(だれかがもの差しを持って旅に出るには広すぎます)といった、理系の大学生でも習わない領域(大学院の領域になるのでしょうか)を説明してくれます。

もちろん日常生活にも役に立つ知識が多く織り交ぜられていて、GPS(位置特定サービス)とは何か、なんでスマホはこれほどまでの情報を処理できるのかなど。

正直こんなのは序の口で、量子力学、ダークマター、ブラックホール、シュバルツシルト半径など、中二病を刺激する用語が並んでおり、ここ最近の物理学の入口も紹介してくれます。

著者は外人さんなんですか、そのもともとの表現力(堅苦しくない)に加えて、翻訳者のパフォーマンスにほれぼれしました。

こういった、もとは英語等で書かれた書籍の翻訳版をよく読むのですが、まさに翻訳しただけであって(それでも翻訳は大変なのは理解しています)、専門知識がないと分からないジョーク、伏線といったところも、専門でない方が分かるように上手く翻訳してくれています。

私自信、この本に出会って初めて「翻訳の仕事って重要なんだな」ということに気づき、著者が違っても、同じ翻訳者ならば買っています。

話はもどりますが、証券アナリストの勉強で、微分意味分かんない!ブラッグショールズ方程式何?と、やはり文系学部出身の方は、数式が出てくることに嫌がることが多いかと思います。

しかし、物理学がまさにそうなんですが、目の前で起こってることを忠実に言語に落とすとなると”数学”が適したツールです。

日本語になると、この修飾語どれにかかってるの?どれが主語?となり、”解釈”が生まれてしまいます。大学に入学してすぐの授業で、教授から

数学は物理学の”道具”だから

と言われたことは、今でも鮮明に記憶に残っています。

この世界(金融工学)も確率論や線形代数(何かパラメータ入れたら何か出てくる関数)と、物理学にとても近い分野だと考えています。

もし証券アナリストを通じて金融工学等に興味がありましたら、是非読んでいただきたいと思います。

もともと金融工学も、スペースシャトルのチャレンジャー号の打ち上げが失敗(1986年)したとき、多くの宇宙プロジェクトが延期され、失職した大量の物理学者がウォール街に流れたため、発達したとも言われています。

また、これを読んで感じたのは、いかに高等教育と言われる大学を卒業しても、物理の分野に限って言えば、4年で学んだのはほんの基礎なんだと。

数学でいえば中学校卒業レベルでも1000年前レベルですし、数学3Cでもニュートン時代(1700年くらいの貴族社会)、量子力学・相対性理論ですら発表から100年経とうとしています。

これは最新の研究に追いつくには、どれだけ勉強しなければならないのでしょうね。さらに新たな発見なんて・・・。

1990年以降の金融工学の発展も目覚ましいものです。テクノロジーの発展とともにどんどん進んでます。取り残されないようにバージョンアップしていかなくてはいけません。

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