AI wobble。

市場環境

S&P500指数の時価総額の約40%がわずか10銘柄によって占められているそうです。これは1970年代初頭の「ニフティ50」時代や1998年から2000年頃の「インターネットバブル1.0」時代に見られた極端な市場集中となっているとの指摘があります。

歴史的に見ると、1880~2010年の間、上位10銘柄の平均比率は約24%前後で推移していましたが、直近では40%とその倍近くになっています。
このように「指数500銘柄で構成されている」と聞くと分散が効いているように感じますが、実際には“500銘柄”のうち、上位たった10銘柄が4割近くを占めているという現実があります。

巨大な時価総額をもつ企業(特にテック/AI関連)が市場を牽引しており、例えばNvidiaは7%~8%の比率に達しています。100万円投資しても8万円はエヌビディアの個別株に投資していることになります。

こうしたテック企業がなぜここまで大きくなったか?という理由は、「勝者がさらに勝つ」という構図、ネットワーク効果・プラットフォーム効果を持つ企業が優位に立ち、それが時価総額拡大に直結しています。こうした企業が上位に位置付けられ続けるため、指数の上位集中度が高まるという構造的要因もあります。

同じような業種・テーマ(例:テック/AI)に偏っているため、テーマリスク・規制・景気後退の影響を受けやすくなることに加え、歴史的に見ても、集中度がピークに近づいた局面ではその後に調整・反動が起きた例もあります。

また、S&P 500指数への市場集中度が高い場合、市場の幅が広がることが多く、長期的にはS&P 500指数に対するS&P 500イコールウェイトのパフォーマンスが有利に働くことが多々ありました。

Three compelling reasons to consider S&P 500 Equal Weight
Discover the potential of equal weight strategies and how they could offer enhanced diversification.

2021年には、Mag7がパフォーマンスをリードし、S&P 500の28.7%に対して51.5%のリターンを記録しましたが、2022年には平均回帰しました。この平均回帰の期間中、イコールウェイトはMag7を34%アウトパフォームしました。この傾向は2023年にも再度起こりました。

2024年第3四半期にも、AIの評価への懐疑感やFRBの利下げ期待によって、S&P500の他の493銘柄がMag7をアウトパフォームしました。

このように「AI bubble(AIブーム/バブル)」を背景に、AI分野・関連株・関連投資が大きく盛り上がってきましたが、その勢いに対して「揺らぎ(wobble)」が出てきた、というものがタイトルの「AI wobble」と言う言葉です。

これに対して、Davidson KempnerのCIOであるトニー・ヨセフ氏は「人工知能(AI)の技術と成長のトレンドは有望である一方で、大規模な設備投資に対する市場の忍耐力が試される可能性があると警告している。これは、パーソナルコンピュータやインターネットによる生産性向上を待ち望んでいた長い待ち時間と同様だ。」と述べています。

Yoseloff warns that while the technological and growth trends in artificial intelligence (AI) are promising, the market’s patience for returns on massive capital expenditures may be tested, similar to those long waits for productivity gains from personal computers and the internet.

タイトルとURLをコピーしました