ジャクソンホール会議から一夜。

市場環境

2025年8月21~23日開催にジャクソンホール会議が開催されました。

ジャクソンホール会議は、カンザスシティ連邦準備銀行が主催し、世界中の中央銀行幹部やエコノミストが集う国際的な学術・政策シンポジウムです。1982年以降、ワイオミング州グランドティトン国立公園内のロッジで開催され、その独自の雰囲気と政策提言の場として重要視されてきました。

2025年のテーマは「移行期の労働市場:人口動態、生産性、マクロ経済政策」。高齢化や労働力不足の中で、AIや移民政策によって生産性強化と持続可能な成長をどう両立するのかが議論の中心となりました。

本来はアカデミックな場で、足元のマーケットには影響を与えないような会議ではあるのですが、2008年に当時のFRB議長であるバーナンキ氏が「異例の措置を取る準備がある」と発言し、実際に数週間後リーマン・ブラザーズ破綻を迎えることになります。

直近では2022年に、パウエル議長が「インフレを抑制するために家計や企業に多少の痛みは伴う」とタカ派の発言をしたことから、米国主要株価指数は3%以上下落しました。

なお、米国株価に関しては2023年は小幅上昇、2024年は「「政策を調整する時が来た。方向性は明確であり、利下げのタイミングとペースは今後入手するデータ、変動する見通し、そしてリスクバランスに左右される」と発言し、小幅下落しました。

その後、9月のFOMCでは50bpの利下げが行われ、続く11月、12月のFOMCでも25bpずつの追加利下げが決定されたことは記憶に新しいところです。

さて今年はどうなったのでしょうか。まず、ジャクソンホール会議当日に向けては、ネガティブサプライズを懸念して下落していました。

そしてジャクソンホール会議当日に関して、パウエル議長の講演では、「雇用市場の弱まりが利下げを正当化する可能性がある」と依然インフレは制御すべきリスクとして残っていると強調したいえで、「われわれは政策スタンスの変更を検討する上で慎重に進むことが可能になる」と利下げを示唆できる内容のコメントがありました。

the labor market was now in a “curious kind of balance” resulting from lowering hiring and decreasing availability of workers amid Trump’s immigration crackdown and demographic changes.

Downside risks to employment are rising. And if those risks materialize, they can do so quickly in the form of sharply higher layoffs and rising unemployment.

As a result, a change in the Fed’s current policy stance — in the form of lowering its benchmark interest rate — may be warranted

パウエルFRB議長、リスクの変化が政策金利の調整を正当化も
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ懸念が残る中でも労働市場へのリスクが高まっていることを指摘し、慎重ながらも9月の利下げに道を開いた。

パウエル議長がインフレが完全に目標を達成するのを待たずに政策金利を引き下げる可能性を示唆したことで、株価は軒並み上昇しました。

株式市場の他、金融政策変更への感応度が高い2年債利回りは10bpほど低下。10年債利回りも8bpほど低下しました。bloombergによると、パウエル議長の講演前は65%程度だった9月の0.25ポイント利下げを、市場は講演後約85%の確率として織り込んだそうです。

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