みんな個別株が好きだよね。

金融知識

日常生活では「投資(もとは資格試験なのだけど)のブログやっているよ!」と、周囲にはもちろん言っていないのですが、それなりに投資はしていることを、聞かれれば答えています。

基本的には、このブログで取り上げているように、分散投資は重要だとか、リターン・リスクはどうだとか、NISAやideco等のビークル(器)等についても優しく伝えています。(もちろん無料)

最初はideco始めたよ(旦那にやらせた。も含む)や、とりあえずNISAで毎月○万円の積立投資はじめたよ、という答えが返ってくるのですが、半年もすると

レーザテックどうかな?

という質問がくるようになります。

注:レーザテックは例えです。(実話ですが)

気持ちは分かるんですよね。長期投資はやっていてもつまらない。1年で良くて増えるのは5%くらいで、100万円投資していても5万円しか増えません。そのくせ、この2月のように平気で10%は下がる。個別株でとっととテンバガー(10倍)達成して、抜け出したいですよね。

まぁ誰もがそんなことできたならば、プロと言われる投資顧問業はもちろんメディア等を含めた投資市場がこんなに大きくならないです。

実際自分の周りで個別株に手を出した人は皆、ことごとくうまくいきませんでした。やはり全般的に言われるのは「リスクが高すぎる」ということ。最近ではネットフリックス(Netflix)の株価が1日で35%下落しました。最高値(2021年11月の約700ドル)から70%の下落です。まさに株価が”3分の1″になりました。

個人的に個別株として印象が強いのは「東京電力」です。リーマンショック前に4500円あった株価も、東日本大震災後には100円を切るところまで下落しました。(終値ベースだと120円が最安値のようです。)

98%の下落です。まさに「紙屑同然」が当てはまる暴落です。

ちょうど投資に興味を持ち始めて最初に目を付けたのは、東京電力でした。当時は投資理論はもちろん、インデックスも知らないド素人でしたが、配当もそれなりにあってインフラ中のインフラ企業だった東京電力は初心者にはもってこい!という銘柄でした。

東京電力については

絶対潰れない

という言葉を何度見たことか。(確かに潰れてはいないのですが。笑)

結局はお金もなかったので個別株投資は見送りました。その後、特段東京電力の株価を気にしないまま数年が過ぎ、それとなく株価を見てみると、この暴落ぶりに驚愕したのを記憶しています。あの神格化されていた銘柄がこんなことになるなんて・・・という恐怖から

個別株投資はやらない。

という方針になりました。

単純な個別株投資以外にも「IPO銘柄なら」という話も聞きます。自分に相談してきた知り合いにもそういう人たちがいました。確かに最初は、証券会社の抽選に応募・当選して、早いうちに売りぬくということを行って、数十万という利益を出していました。

IPOはまず抽選に当たるのが難しく、抽選に当たれば「公募価格」という価格で購入することができます。そして大抵、上場してすぐは公募価格より高くなる傾向があるので、そこで売り抜ければ利益が出る確率が高いです。

特に2021年は近年まれに見る「IPOバブル」の年だったので、メディア等でも大々的に宣伝していました。

2021 年の世界の新規株式公開(IPO)社数は過去最高を更新しました。世界的な金融緩和などを背景とした株価高騰が上場を後押しする重要な一因と考えられます。日本国内においても、東京証券取引所における市場再編前の駆け込み上場などといった要因が加わっているとみられ、2021年12 月単月のIPO 社数は32 社で高水準となりました。

帝国データバンクより

例えば2021年12月に上場した「ハイブリッドテクノロジーズ」(全く縁はありませんが、名前がTHE・IPO銘柄っぽいということで選択)は、公募価格が500円ですが、上場してすぐに倍の940円近くまで上昇しました。

ここで売り抜けていれば良いのですが、タイミングを逃すとあっという間に下がってしまい、現在(2022年4月)はわずかに公募価格を上回って推移しています。

これをきっちり続けていれば良いのですが、人間はやはり欲深い人間です。実際は

もっと上がるだろう。

と持ち続けてしまって、公募価格割れをしたところで損切りをしたり、そもそもIPOプレミアムを狙っての戦略なのに、なかなか抽選にあたらないため「上場後すぐに買う」と行動に走ってしまい、結果最高値付近で掴まされて、そのまま下落・・・ということを繰り返してしまったそうです。

IPOで億るぜ!

と言っていたのを聞いてから約1年後。あれからどう?と聞いたところ、利益が出るどころか百数十万円損を出したとのこと。戦略的には良いと思っていたのですが、やはりルールを守るのは難しいようです。

結局みんなインデックス投資に帰ってきてはいますが(またいつかは去って行ってしまうかもしれませんが)、インデックス投資の良い所は

リスク管理がしやすいところ

に尽きます。いろいろな文献を読んでいると

・リスクのおまけでリターンが付いてくる
・誰もが平等に取れるリスクは時間

ということが必ず書かれています。あの与沢翼ですら「反対側のことを考える。緊張感を持って、リアリティーを持って、悪いことを本当に考える。」と言っています。まさに、利益だけでなくて、リスク管理の重要性を言っています。(と自分は解釈した。)

具体的には、個別株の場合、ちょっとした要因(=ノン・システマティックリスク)で平気で株価が半分になることはもちろん、10分の一、下手するとデフォルトする危険性があります。一方で、インデックス投資の場合、ある程度下落幅を予想することができるので、自分のリスク許容度と照らし合わせて、投資額を決めることができます。

後程説明しますが投資にとって「いかに市場に残るか」が重要になってきます。株式のインデックス投資を想定した場合に、生活資金や自分のリスク許容度(いくら損したら精神的にきつくなるか等)を照らし合わせて投資額を決めます。具体的には、株式インデックスの場合、統計的に大抵上下に20%ほど株価が変動することや、最悪半分になることを(50%下落)を想定することができます。

また、インデックス投資は究極の分散投資です。個別株投資の場合、その銘柄がデフォルトしてしまったら、それ以上投資を続けることができません。たとえ東京電力のように潰れないことも多いかも知れませんが、90%下落してしまったら、その株を保有するのも心理的に難しくなります。

なんたって、その銘柄が元の価格に戻るためには「テンバガー(10倍)」にならないといけないのですから。せっかくテンバガーになっても”プラマイゼロ”です。

もちろん個別銘柄を当てればリターンも図りしません。しかし、プロが有象無象にいる世界で、自分がその銘柄に、かつまだ割高になっていない状態でたどり着くほどの選定眼をもっていると思いますか?

自分の周りにも「買った株が3倍になったんだよ。(すごいだろ)」という人がいますが、他の銘柄の勝率を聞くと、悲惨なものです。そりゃ運の要素もあって、20銘柄中1銘柄は偶然当たるかもしれません。しかし、それを永続的に、少なくとも勝率51%以上で続けないと、利益になりません。

そういった意味でインデックス投資は楽です。楽ですという言い方は良くないので、もう少し正確に言うと

投資効率が良い

ということです。リスクは過去の経験からみると約50%の下落で落ち着くことが多いです。あれだけ騒いだコロナショックも30%ほどの下落で済みました。また、インデックス投資は必要以上の調査や売買コストも必要ありません。

自分で色々分析しようとbloombergと契約(年間300万円くらい?)する必要もありませんし、必死に何百ページある財務諸表を読む能力、その読む時間も必要ありません。必要なのは放っておく時間のみが必要です。100%ではありませんが、統計的に20年も放っておけば、誰でも年率4%は獲得できた歴史があります。

なお、年率4%と聞くとわずかな利益のように聞こえますが、複利で算定すると2.2倍です。

自分も投資を始めた頃は、もっと早く増える方法はないかなぁと探したものです。いまでも探しています。過去にもシミュレーションで個別株を選んでみたりとか、仮想通貨を考えてみました。確かに当たった時のリターンはでかいのですが、税制を考慮した手取りだったり、調査・運用コストだったり(時給換算してみるのもいいかと思います。)、もしめちゃくちゃ市場が悪化したら(東京電力のようにメルトダウンだったり、仮想通貨で言えば暗号が解読されたり上位互換の仕組みが出来たり)という想定をしたときの下落幅に怯えたりと、悩みが尽きません。

投資効率で指標として使われるシャープ・レシオ(リターン÷リスク)で考えると、個別株も仮想通貨も確かに分子(リターン)は大きいのだけれでも、分母(リスク)も圧倒的に大きく、結果、シャープレシオは株式より低い値になってしまいます。

冒頭に「リスクを取っているおまけとしてリターンがある」と言ったのですが、せっかくリスクを取っているならば無駄なくリターンがほしいです。逆に不要なリスクは取りたくないですよね。(これがまさにシャープ・レシオの考えの発端でもありますが。)

最後はいつもの投資理論の話に着地していましたが、最初は「本当かよ」と思っていた投資理論も、もう何年も体で経験していると、確かに合っているなと思うようになってきました。

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