消費税が10%に引き上げられて、1ヶ月が経ちましたした。
キャッシュレス還元も始まり、PASMOやSuicaなどは事前に還元プログラムに登録しないと、還元してくれないようなので、注意してくださいね。
このような、税金の改正というのはどのように行われるのでしょうか?
例えば酒税の改正や配偶者控除の改正などもこれからだんだんと行われています。
酒税の改正は、日本の技術力が「いかに税金を下げるか」に注力されてしまったため、産業構造を正しい方向に導くという目的もあって行われました。
ビール(麦芽比率が一定以上)は贅沢品とされ、税金が高く350ml缶あたり77円が税金です。
メーカーさんは「いかに安く提供できるか」を追求し、”麦以外の原料でビールの味を保つ“に技術のすべてを追求していきました。これが”第3のビール“です。
そうすれば、税法上のビールに該当せず、酒税分安く提供できるからです。その技術力をそもそものビールに注ごうよ、ということで今回の改正が行われたと聞いています。
今回の改正でビールが安くなるのはいいのですが、メーカーさんが頑張って抜け穴を探してきた”第3のビール”もビールの定義に入ってしまい、増税=価格が上がるので、かわいそうですね。
消費税の引き上げは、昔からニュースやワイドショーでも頻繁に取り上げられており、具体的なスケジュールは、国民の大半は知っていたかと思います。
このように新聞や週刊誌の方々が政治家や官僚に聞いてみないと、事前にわからないのでしょうか。
税制改正のスケジュール
実は一般の人でも、どのように税金が変わっていくかあらかじめ知ることができます。
関係団体・省庁要望(8月~9月)
一般的に夏の終わり頃から、各省庁や経団連といった団体から、税制改正要望が財務省に提出されます。経団連や全国銀行協会など大きな団体の税制改正要望は、新聞でも取り上げられます。
各省庁もホームページで公開しています。以下は厚生労働省の例です。
省庁間・政府(与党)内調整(10月~12月)
それから秋から冬にかけて、財務省や政治家の方々が議論します。これを税制調査会といいます。
税制調査会にも政府税制調査会と与党(現在では自由民主党)税制調査会がありますが、政府税調はご意見番的な立場で、実権はほぼ与党税調が握っている感じです。
政府税調は内閣府にホームページもあり、定期的に議事録等もアップされるのですが、与党税調は実権があるにも関わらず非公式の会合になっています。笑
議論を主導するのは会長やナンバー2の小委員長ら10人弱が参加する「インナー」と呼ばれる非公式幹部会合だ。重要案件はさらに5人程度に絞り込んだ「コア(核)インナー」会合で議論する。一般の自民党議員が出席する「総会」や「小委員会」と違い、開催予定や議題を公表しない。
日本経済新聞(2019/9/30)
与党税制改正大綱の公表(12月)
与党の調整が終わると、通例では年末に”与党税制改正大綱”というものが公表され、税制改正の骨子になります。
自民党ホームページにアップされます。ちなみに画面は昨年度(平成30年度)時点のものになります。
なぜ「平成31年度」かというと”平成31年度から施行する”という意味があるので、1年先の名前になっています。ですので、今動いているのは「令和2年度から施行分」なので”令和2年度”となります。
ちなみに平成31年度の大綱は124ページありました。大きくは国税と地方税で分かれているので重複している内容も多いのですが、興味がある人は読んでみてください。
国会審議(2月~3月)
税金は所得税法や法人税法といった法律改正になるので、国会を通さなければなりません。
年があけて、通常国会が1月から始まり(通常国会は1月~6月開催)、最初は政府予算について議論され、3月に入ってから税制改正の議論に入り、年度末(4月末)までになんとか法律改正!というイメージ感です。
法律改正といっても具体的に内容が固まっているわけではなく、あくまで考え方とスケジュールが決まる程度です。
実際の税率や経過措置などは、省令や告示といった法律の下位規定に定められており、あとは各省庁等の大臣権限であったり、局長または課長権限であったりと、各プロセスを踏んで世の中に浸透させていくわけです。
ちょうど今は各省庁の税制改正要望が出揃ったところです。
消費税という大きな改正が終わって、今後はどのような部分にテコ入れが始まっていくのかが注目です。