とうとうS&P500が4600を超えてしまいました。
個人的な予想ですが、今年も半分が過ぎた6月時点で、S&P500の年末着地予想を4400としていましたが、恒大集団ショック等もありながらとうとう4600の大台まで上昇してしまいました。
9月は、先ほどの恒大集団のデフォルトリスクが懸念され4.7%の下落となりましたが、10月は強い決算結果を背景に6.9%上昇しました。
データ提供会社のFACT SETによれば、10月29日に時点でS&P500のうちの半数が第3四半期の決算発表を終え、そのうちの82%が市場予想を上回っているとのことです。この82%が最終的な数字となるならば、FACT SETが2008年から集計を始めてから、4番目に高い数字となるとのこと。
Overall, 56% of the companies in the S&P 500 have reported actual results for Q3 2021 to date. Of these companies, 82% have reported actual EPS above estimates, which is above the five-year average of 76%.
FACT SETより
また、11月2日~3日に開催されるFOMCにも注目が集まっています。おそらく市場は織り込んでいるので、大きな下振れはないと考えているのですが、量的金融緩和の引き締め(=資産購入の減額)を発表する可能性が高いと言われています。
過去にはリーマンショック後の量的金融緩和の引き締めを2014年の1月から10月に実施(利上げは2015年12月)しました。当時の金利推移としては、2013年5月1日は1.63%水準(取引終了時点、以下同じ)でしたが、5月22日の前述のバーナンキ発言を受けて上昇ペースが加速し、2013年末には3%台に達しました。ただ、実際にテーパリングが始まると利回りは緩やかに低下し、2014年末には2.17%水準まで戻りました。
その後、2015年に入ってから一段と金利低下が進みますが、これは2015年8月からチャイナショックが始まった影響ですね。
今回もテーパリングの話題が出てきた2021年当初から金利が上昇し始め、1.776%をピークに足元は1.5%付近を前後しています。2013年5月~2014年のテーパリング発言から実施までの水準を勘案すると、今後も1.5%で推移するのでしょうか。
なお、テーパリングが実施された2014年を振り返ると、ウクライナの国境問題や原油安を発端としたロシア経済危機等ありましたが、米国株価(S&P500)は11.4%上昇しました。意外と量的緩和が引き締められたのに株価は上昇したんですね。
テーパリングがあまり株価に影響がないと、次に意識されるのは「利上げ」の影響です。1990年以降で利上げが行なわれたのは、1994年、1999年、2004年、2015年の大きく3回でした。
94年は最初の利上げから数ヶ月間でS&P500は約8%下落、その後も断続的に利上げが行なわれ、利上げのさなか1年ほど株価は低迷も利上げが終わると力強い上昇を開始し、その後5年間で株価は約3倍なりました。99年は利上げ後数ヶ月間でS&P500は6%ほど調整も、すぐに持ち直し株価は上昇、04年も利上げ後1ヶ月で6%ほど調整もまもなく持ち直し株価は上昇しました。
直近の2015年では、8月にチャイナショックが生じてしまったので、純粋な利上げの株価への影響は分かりませんが、2016年始めに2000だったS&P500は2019年7月に再び政策金利が引き下げられるまでに、3200まで上昇しました。結果、まさに利上げの真っ最中だった2016年~2017年は「適温相場(ゴルディロックス相場」と呼ばれ、右肩上がりだった記憶があります。(その後に2018年に入って金利が上昇したり、トランプ大統領と中国のバトル等で浮き沈みがありましたが。)
結果として、理論的には評価額の計算上「金利上昇=株安」という関係はあるのですが、実際にテーパリングや利上げが始まってもあまり株価には影響ない、むしろ「経済が活性化しているからインフレ圧力を下げるために利上げ(またはテーパリング)」ということなので、株価には良い材料なのだとおもいました。