退職金の損しない貰い方。まずは税金を計算しよう。

年金・生命保険
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去年(2019年)は退職金や年金と言ったニュースが多かったですね。

私の考えは、もちろん公的年金じゃ足りなくて、退職金や企業年金(企業年金は退職金の一部という意味ですが)をうまく活用すれば、心配することはないということが結論です。

今回は、公的年金・退職金・企業年金の違いがなんとなく分かっている方向けの記事で、実際に受け取るときにどういった点に注意すればいいかご紹介したいと思います。

先に結論を言うと

税金をいかに抑えつつ、運用利息を付けられるか

かつ

公的年金の繰り下げを活用

です。

それでは順を追って説明します。

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退職一時金と企業年金の違い

以前も取り上げたことがありますが、重要な点なので復習です。勤めている会社には一般的に”退職金制度“が存在します。

“退職金制度”といっても退職一時金制度や 確定給付型の企業年金(=DB)、確定拠出型の企業年金(=DC)、役員退職手当金制度等の種類が組み合わさっています。

今回は一般的な退職一時金確定給付型の企業年金(DB)の組み合わせについて考えたいと思います。

例えば「うちの会社の退職金は2000万円らしいよ~」という場合、下の図のように退職一時金と企業年金(以下確定給付型の企業年金=DBを想定)の合計が2000万円という意味です。

退職金全体(2000万円)のうち、何割が企業年金かということを”移行割合“というのですが、企業によって100%(全部企業年金)だったり、30%だったりとまちまちです。

個人的な見解ですが、移行割合(=企業年金の割合)が高いほうが、従業員にとって優しい制度です。具体的なメリットの説明は長くなるので以下の記事を参照いただきたいのですが、簡単にまとめると、貰い方の選択肢が多い・企業が倒産しても大丈夫ということがメリットです。

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企業年金は貰い方を工夫しよう

退職一時金は、その名の通り退職時に一括で受け取って終わりです。一方で企業年金は分割で支払いしてくれます。一般的には5年、10年、15年の選択肢があるかと思います。

さらに企業年金部分の中で、半分を年金・半分を一時金(これを選択一時金といいます)で貰うという選択も可能です。これを選択割合と言いますが、25%刻みで設定している企業が多い印象です。

分割で受け取るだけだとメリットないなぁ~と思うかと思いますが、ここが最重要ポイントで

分割で受け取る場合は2%~3%の利息

が付きます。2017年の統計では、8割以上の企業が2.0%以上で設定していることが分かります。

ちなみにこの利率(年金換算利率)を変更するとなると、”企業年金の減額“に該当し、従業員組合もしくは従業員の同意(確定給付企業年金法施行規則第6条)が必要となるので、簡単には下げられません。

第一生命ホームページより

このブログを読んでいる方は、”複利”の効果の凄さをご存知かと思いますが、念のため試算してみました。

まずは1000万円を10年・利息2%で年金化した場合、受け取る額の総合系は1115万円(税考慮前)になります。

分割払いは死んでしまったら、会社が倒産したら、というリスクを想定してしまうかと思いますが、それが企業年金のメリットの一部でして

  • この10年(5年でも15年でも同じ)は保証期間と言われ、10年経つ前に死んでしまっても、遺族に引き継がれます。
  • 企業年金は会社の資産から隔離(生保契約・信託契約)されるため、母体である会社が倒産しても債権にあたらず、倒産の影響は受けない。

法律上この保証期間は20年ですが、企業によって定めは様々ですので、是非確認してみてください。

利息3%で20年の分割払いを選択すると1.3倍にも受取額が増えます。

利息より手数料の方が多い個人年金保険に加入している場合ではないです。

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退職一時金と年金の税金の違い

貰う総額は圧倒的に利息が付く分割払い(年金化)の方が得です。

一方、税制面では年金で貰うより退職一時金で貰う方がメリットが大きいのが、日本の税制の現状です。

退職金を一時金で貰う場合と年金で貰う場合で、それぞれ退職所得控除公的年金等控除という区分に分かれます。ややこしいですね。

退職一時金の税金(退職所得控除)

退職所得控除は、退職時に貰ったお金に対して課税され、退職一時金はもちろん、企業年金のうち一時金で貰った(選択一時金)部分もこっちの課税区分に分類されます。

勤続年数に比例して、勤続年数が20年を超えてくると一気に非課税枠が増加します。例えば40年務めると、2200万円まで非課税です。

国税庁ホームページより

年金の税金(公的年金等控除)

公的年金も企業年金も個人年金も、毎年一定額を受け取る方式だと公的年金等控除が適用されます。

上記年金以外に収入がある場合だと計算が複雑になるので、今回は公的年金と企業年金のみを受け取る場合を計算します。年金は最終的に他の所得と合算して課税されます。(雑所得という区分で合算課税)

国税庁ホームページより

公的年金等控除は他の所得と比較すると、目に見えない必要経費に該当するイメージです。退職所得控除に比べてやや複雑で、3段階に分けて計算します。

  1. 雑所得金額の計算(公的年金等控除の適用)
  2. 課税所得金額の計算(各種控除の適用)
  3. 所得税・住民税の計算

例えば65歳以上で月30万円(=年360万円:公的年金・企業年金合計)ほど年金を受け取っている場合に、雑所得金額(公的年金等控除額控除後の収入)は

360万円×75%-27.5万円=242.5万円

となります。

国税庁ホームページより(所得合計が1000万円以下の場合)

次に課税所得金額を計算するため、雑所得から基礎控除・配偶者控除等の各種控除額を差し引きます。

夫婦2人の場合、基礎控除48万円・配偶者控除38万円(2020年以降)ですので、課税所得金額は

242.5万円-48万円-38万円=156.5万円

となります。最終的に所得税を計算すると

156.5万円×5%=7.8万円(年間)

となります。

所得税の他、住民税が約10%課税(約16万円※)されますので、年間360万円(月30万円)の年金収入がある方の手取り額は

360万円-7.8万円(所得税)-16万円=約336万円(月28万円)

となります。※住民税は基礎控除等の額が少し国税(所得税)と異なるので概算。

長くなりましたが、年金で受け取ると利息が付くメリットがある一方で、年金額が大きくなると税金を支払う可能性が高くなる(年金額が下がる)というデメリットが存在します。

配偶者控除の取り扱い(年金での受取りのみ)

上記の計算では配偶者控除(38万円)がある前提で計算しました。配偶者控除は年間の合計所得金額が48万円以下(令和2年以降)である場合に適用できます。

国税庁ホームページより

合計所得金額とは給与はもちろん、株式配当や退職金、年金収入等の雑所得も入ります。

今回は配偶者が年間約78万円の基礎年金のみという前提ですので、雑所得の計算では年間110万円までは「収入0とみなす」(65歳以上)となるので、配偶者自身への課税はもちろん非課税で、配偶者控除の対象になると想定しています。

補足:公的年金のみの場合の税金

平均的なサラリーマンの公的年金の受給金額(夫婦二人合わせた基礎年金・厚生年金合計)は月22万円と言われています。(厚生労働省平成30年度の標準的モデル世帯の年金額より)

22万円の内訳は、夫の厚生年金・基礎年金が月15万円、妻(専業主婦)の基礎年金が月7万円です。

そのため、税金は夫の収入(年間約180万円)のみに課税されます。

その税額をざっと計算すると、雑所得額が70万円(180万円-110万円)となり、基礎控除・配偶者控除を加味(86万円控除)すると所得金額は0円となり、課税されません。笑

夫婦二人の控除額(86万円)から逆算すると、夫の年金額は196万円まで非課税です。

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どれ程度まで年金で貰ったほうがいいのか?

さて、ここまでの話をまとめると、以下のトレードオフが生じます。

  • 年金化して利息を付けた方がお得
  • 年金化すると課税額が増える

退職金総額が2200万未満ならば、全て一時金でとして非課税で受け取れますが、利息が付きません。

一方で企業年金のメリットを生かして、2%以上の保証利率という今の時代では考えられない利息が付きますが、年金額が増えるので税金を払うことになるので、悩ましいところです。

ですので、今回簡単な試算をしました。

退職金2000万円をどうもらうか検討中、という前提で考えます。

早速試算結果はこちら。

シミュレーション結果

税額計算の都合上、夫の年金収入のみの記載ですが、世帯年収は年金年額②の額に、奥さんの基礎年金(年額約78万円)を加算した額です。

まずは、企業年金部分全額(1000万円)を年金化した試算結果。

続いて、企業年金部分のうち50%を選択一時金化した試算結果です。

500万円を年金化

シミュレーション結果の考察

5年程度の短期間で年金化する場合、複利の効果が得られないかつ年間の所得額が増加するため課税額が増加するため、トータルでは元本を下回ってしまいます。

10年以上の長期間になると複利の効果が得られるかつ年間の所得額もそれほど増えず、課税もあまりされないため、トータルでは元本(1000万や500万)を上回ります。

年金化するのが500万か1000万かというと、10年程度の期間しか選択肢にないのならば、複利効果があまり得られないため、課税額を抑えるために500万ほど、一方で15年以上の選択肢があれば複利効果の方が大きくなるのでなるべく大きな額を選んだ方がいいかと思います。

利息が3%付くならば、比較的トータルを上回る場合のほうが多そうなので、年金化してしまった方がいいかもしれません。

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公的年金の繰り下げ制度を活用してみる

ここまでの総括を見ると、退職一時金の税制優遇が良すぎて、あまり年金化することのメリットがありませんでした。ここで年金化のメリットを最大限享受する方法が公的年金の繰り下げです。

現在、65歳から支給される公的年金ですが、70歳まで繰り下げる(受給を遅らせる)ことにより42%の増額が可能です。

日本年金機構より

ですので65歳から5年間は企業年金を年金化、70歳以降は公的年金(42%増・しかも終身)を受け取った場合のシミュレーションを行ってみました。

年金の税制は、年間で受け取る年金年額が大きいほど累進課税により税金が大きくなります。そのため、企業年金と公的年金の受け取る時期をずらすことにより節税効果が見込めます。

企業年金は60歳から受け取れるので、公的年金を65歳から受け取ることを選択すれば、企業年金の課税を減らしつつ、公的年金の繰り下げによる増加が見込めます。

1000万円を年金化すると、月々17万円ほどの受取りになってしまいますが、節税と利息効果により30万円~50万円の増額が見込めます。

加えて、公的年金が42%増額となるので、70歳以降は世帯で月31万円(しかも終身)の収入が見込めます。

この場合、企業年金の受取りを5年にしているので複利効果は薄くなってしまうデメリットはありますが。

長くなりましたが、このように年金の受取方のパターンで損得が出てきますので、例えば60歳以上で雇用してもらえるか、月々どの程度必要か等勘案して、受け取り方を是非検討する材料になれば幸いです。

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